無肥料栽培ってどうなの?

自然農園という名前で農園を営んでいると、「無肥料栽培なんですか?」と聴かれることがあります。

うちは正直に申し上げて土の状態に合わせて方法を変えています。

 

植物由来の肥料(緑肥)のみで育てるものもあります。

状態を見ながら有機質肥料を入れて栽培する野菜もあります。

震災のあと、何度も工事が入り、どうしようもない畑はごく少量ですが

化学肥料も使ったことがあります(使わざるを得ないほどの状態なので)。

 

こう正直に話すと「自然栽培ではないんじゃないか!」とおっしゃる方もいるかもしれません。

 

今回は、自然栽培の中でも無肥料栽培について私見も踏まえながら見ていきたいと思います。

 

 

自然農法とは何か

 

健康にこだわって野菜を選ぶ際に、まず思いつくのは「オーガニック」や「自然栽培」の野菜

という人も少なくないかもしれません。

 

では、自然農法とはどんな農法なのでしょうか。

以前、別のブログでも取り上げましたが、さらっとおさらいをします。

 

自然農法の実践方法は提唱者によってバラバラです。

どの方法が良いとか悪いというのではなく、その土地や環境にあった方法があると 

解釈するほうがすっきりするかもしれません。

 

理念や原理としては、自然の摂理を規範に、自然の働きを引き出し、 

永続的な生産を行うことを目標としています。

 

自然農法の研究などを行っている自然農法国際研究開発センターでは、 

すでに自然農法を実践しているだけでなく、それを目指して栽培をしているものも 

自然農法の一部として捉えられています。 

 

 

無肥料栽培とは

 

自然農法の中でも無肥料栽培はどんな栽培方法なのか。

調べてみると、無肥料栽培を実践している方でもいくつかの方法に分かれていることがわかりました。

 

おおまかに、下記の3つのパターンに分けられます。

 

  • 畑に外部から植物の栄養となるものを一切入れない・持ち込まない方法
  • 植物由来のもの(米ぬかやワラ、油かす、落ち葉など)のみ使用する方法
  • 自家製のオリジナルぼかし肥料はOKとする方法

 

実践者や考え方でこちらもバラツキがあるようです。

 

一般的には、植物由来のものやオリジナルぼかし肥料も肥料や土壌改良材としての扱いになるので 

無肥料栽培というには少し問題があるように思います。 

 

また米ぬかや油かすそのものは問題ないのか(例えば、無農薬の米ぬかや油カスを使っているのか 

市販のものなのかといったこと)といった素朴な疑問もあります。 

特に、市販の油かすは遺伝子組み換えのものである可能性も考えられますので。

 

無肥料栽培と厳密に言うのならば、①が妥当かもしれません。

 

 

 

本当に外部から栄養となるものを一切入れずに植物は育つのか?

 

私が新規就農したてのころ、比較的近い場所で自然農法で無肥料栽培をしていた方と会う機会がありました。

 

最初の5年までは何とか無肥料で栽培できたそうですが、それ以降はまともに育たず、 

生計を立てることが難しくなったため、辞めてしまったとおっしゃっていました。 

 

この方以外にも自然栽培のブームが来たときに自然栽培に取り組み、 

数年で辞めた方々が同じようなことをおっしゃっていました。

 

完全な無肥料栽培というのは難しいのかもしれません。

 

ただ条件が合えば、可能である可能性はあります。

 

その条件とは、例えば、

山の中にある畑で常に山から栄養分が来るようになっているとか

ミネラル豊富な水が近くを流れているとか

雨が多い地域で畑に少なからず栄養が補給されているとか

 

そういった条件があるなら可能かもしれません。

 

 

無肥料栽培の何が良いのか?

 

無肥料栽培の農家さんの話では、肥料を使った場合には「肥毒(=いわゆる硝酸態窒素のことを指す)」 

があるために良くないということです。

そのため、肥料を使わずに育てた野菜が良いと言われています。

 

*硝酸態窒素については別のブログで取り上げましたが、 

 野菜には少なくても多すぎてもダメで適量の量が必要だと言われています。

 

また、人工的に作られた肥料(化学物質)に対してアレルギーのある方や動物性の肥料を使った野菜が 

食べられないといった方もおり、そういった悩みを抱えている方は無肥料栽培の野菜が良いと言えます。

 

 

どんな農法であれ、最後は「土作り(育土)」

 

ここからは私見です。

農業にもいろんな農法や栽培方法がありますが、どの農法がダメでどの農法が良い、 

ということはないと思います。 

 

よく自分の実践している農法以外を「悪」と考える農家さんもいますが、

育てる側にも食べる側にもその地域や環境によっても状況は異なるので、 

「悪」や「善」というのはないものと考えています。

 

それぞれの農家の志や想い、また地域や環境の違いで全く異なってきます。

 

どんな農法か、ということよりもどんな「土作り(育土)」をしているかのほうが私は大切かなと思います。

 

*本当は育土という表現のほうが正しいと思いますが、わかりにくいので土作りと言っています。

 

土が良ければ、虫はつきにくいですし、野菜も健康に育ちます。

農薬を使わずに育てていく中で突き詰めていくと、「土作り」に行き着きます。

 

もし自分にあった農家さんを探す際には、どんな農法で農産物を育てているかではなく、 

どんなふうに「土作り」をしているかを聴くと良いかもしれませんね。

 

 

 

MITUでの土作りは?

 

MITUでは、冒頭でもお伝えしたように土の状態を見ながら、 

どんなふうに土作りをしていくかを考えています。

 

土壌分析をして土がどんな栄養状態かを調べたり、土の中の生き物を調べたり、 

生えてくる草(雑草)を見たり、土の硬さを調べたり、その年の天気はどうなりそうかなと妄想しながら、 

考えています。

 

土の状態が良さそうなときは、ソルゴーという植物を育てそれをそのまま畑にすき込んだり 

野菜くずなどを入れています。

 

大崎にある畑は数年に一度、地元の畜産農家さんが堆肥を入れてくれます。

これは地域のお付き合いや事情、地域内循環もあり、その地域の稲作農家さんや畑作農家さんが 

堆肥を使用しています。

 

土の状態が悪いとき(震災後に何度も工事が行われ、土も入れ替えられたところ)は、 

堆肥や有機物を入れ、必要に応じて化学肥料を使うこともあります。

こういった土の畑は3〜5年かけて少しずつ土を良い状態へしていく計画です。

 

いかがでしたか?

 

自然農法にも無肥料栽培にもいろいろな実践方法がありますが、 

どんなふうに「土作り」をしてどんな農産物が育っているかを見ながら、 

自分の求める健康な食材のイメージに照らし合わせて選んでみてくださいね。