日本の有機野菜は危ない?!−肥料のお話

有機野菜と聴くと、あなたはどんなイメージを持ちますか?

 

 

「安全安心」、「味が濃くて美味しい」、「甘い」というイメージを持つ人もいれば、

「高い」、「美味しくない」、「危険だと聴いたことがある」というイメージを持つ人も

いると思います。

 

有機野菜は安全なのか?危ないのか?という議論はインターネット上でもたびたび議論になっていますね。

私たちもイベントで出店しているときに「無農薬とか有機肥料で育てた野菜って危なくないの?」と

聴かれることもあります。

 

今回のブログでは、日本の有機野菜は危ないのか?!ということを肥料の側面から見ていきたいと思います。

 

 

 

有機JASの野菜を育てるには 

日本で「有機」と表示するには、有機JAS規格という認証を取らないといけません。

有機JAS規格に合わせて野菜を育てている場合には、「天然物質ないしは化学的に処理していない

天然物質に由来するもの」として有機JASに適合した肥料を使うことになります。

 

肥料は、例えば家畜の糞尿を発酵させた堆肥や水産加工施設からの副産物(魚かすなど)、

天然鉱石や草木を灰にしたものなどを使うことになります。

 

 

有機JASの問題点 

 

有機JASで野菜を育てる際に、大きく2つの問題が指摘されていて、

この問題がきっかけで有機野菜=危ない、というイメージを持つ人も多いようです。 

 

 

圃場(田畑)に入れる肥料の量が決められていない。

 

海外のオーガニック認証では肥料(主に家畜糞堆肥)の施肥量の基準があるのですが、 

日本のJAS規格では現時点では施肥基準はありません。 

有機JASとは別に、都道府県独自の「認証制度」で施肥量の基準を決めているところはあります。

 

例えば、MITUが農業を営んでいる宮城県では「みやぎの環境にやさしい農産物認証・表示制度」という 

県独自の認証を設けており、そこでは農薬や化学肥料の使用を慣行の5割以下に抑えた栽培方法に対して 

「特別農産物」として認証を出しています。

 

JAS規格で基準が決まっておらず、また有機農業の取り組みが始まって間もない頃に技術が確立されておらず 

肥料を多く入れる傾向があったことも影響し、JAS規格でも認証を取っていない有機栽培農家さんの中でも 

肥料を入れすぎてしまっている方が少なからずいるのが現状です。 

 

ある有機栽培の実践報告では、とある有機栽培農家さんが発酵鶏糞という肥料を元肥 

(野菜を植える前に肥料を入れること)で10a(約1000平米)あたり2t入れているとお話していました。 

 

発酵鶏糞の種類によっても多少の数字の違いはありますが、野菜を育てるために必要な成分の1つである 

「窒素」の量をざっくり計算すると10aあたり40〜100kgの量。

 

この数字を見ても、農業関係以外の方は「?」となるかもしれません。

 

慣行栽培の施肥基準では畑に入れる窒素の量は栽培期間全体でおおむね10〜50kgの範囲です。 

元肥だけでみると10〜25kgの量です(もちろん畑の土質や環境、栽培品目で変わります)。

 

慣行の施肥基準と比較してもかなり多いことがわかるかと思います。

 

肥料が多いことで農産物に硝酸態窒素などが過剰に溜まっていたり、環境汚染にもつながるため、 

問題となっています。

 

 

家畜糞堆肥や油かす類の肥料の元をたどると、、、

有機農業含め堆肥や有機肥料を使うこと自体が危ない、と言われるのには理由があります。

それは家畜が遺伝子組換え作物の飼料を食べていてその家畜からでた糞尿で堆肥を作った場合、 

また遺伝子組み換えの菜種から採取したあとの菜種粕を肥料にした場合、畑や育った野菜に 

悪影響を及ぼすのではないか、というものです。

 

世界の認証では、家畜の糞堆肥(厩肥)を有機栽培で使う場合には、 

遺伝子組換えのエサを食べている家畜のものは禁止されています。 

 

しかし、日本の場合には飼料には遺伝子組み換え表示の義務がなく、 

遺伝子組み換え作物のエサを食べた家畜の糞堆肥が使われている場合があります。 

 

また、油かすについては「有機農産物の日本農林規格」において「その原料の生産段階において 

組替えDNA技術が用いられていない資材に該当するものの入手が困難である場合には、当分の間、 

同項の規定にかかわらず、この資材に該当する資材以外のものをしようすることができる」 

と記載されており、使用が認められています。

 

遺伝子組換え作物由来の肥料にはどんな問題があるのかは、別の機会に取り上げることにします。

 

いずれにしても、日本の有機認証の場合、肥料の入れる量を定めた基準がないこと、 

遺伝子組換え作物を食べた家畜の糞堆肥が使われている可能性があることから、 

「有機野菜」=「危ない」と危惧する人がいると考えられます。

 

 

海外の有機認証の場合はどうなの?

 

日本の有機認証にはちょっとした問題があることがわかりましたが、海外の認証ではどうなのでしょうか。

 

オーガニック先進国であるヨーロッパで、EU 欧米連合が認証している有機農産物の基準から 

先程取り上げた①と②の基準を見てみたいと思います。 

 

EU認証での家畜糞堆肥の基準

 

動物性肥料に関しては、窒素の量が170kg/haを上限とする、と定められています。

haは100aなので、10aあたり17kgの窒素量が上限となっています。 

先程の発酵鶏糞を2トン入れている農家さんと比較すると、かなり少ないことがわかります。 

 

また、肥料は自然成分由来の肥料と従来の(EUで)許容されている肥料リストは許されていますが、 

工業的農業に由来したものはダメだとされています。 

 

工業的というとイメージがつきにくいかと思いますが、日本の養鶏のようにニワトリを狭いゲージに入れ、 

身動きも取れないような状態で飼育されているようなものが工業的と考えられます。 

 

つまり、平飼いや放牧などで育てられた非工業的畜産業から出た糞尿を堆肥にしたものは使用可能です。

また遺伝子組み換え作物を食べた家畜の糞堆肥も禁止されています。

 

 

 

◯◯農法とこだわらずに野菜選びをするのも1つ

 

日本の有機JASでは動物由来の堆肥(糞堆肥など)で肥料の上限が設けられておらず、 

遺伝子組み換え作物を食べた家畜かどうかも曖昧なままとなっています。

肥料(窒素)をたくさん使用した野菜は、硝酸態窒素が多く、エグみや苦みも増し、 

さらには環境にも悪影響が出ると言われています。

 

有機農業の研究をしている団体では、窒素の量を従来の慣行栽培の基準の7〜8割程度に抑えて 

栽培することを推奨しています。

 

どんな農法かというよりも「どんなふうに育てられたか」を確かめながら 

野菜選びをするのも1つかもしれませんね。

 

最近では、スーパーの野菜コーナーでもQRコードを読み取ると、 

その野菜を育てた生産者がどんなふうに野菜を育てたか生産履歴で見れるようになりました。 

 

MITUでも取引先のスーパーさんで生産履歴を見れますし、気になる方にはホームページなどから 

問い合わせいただき正直にお答えしています(笑)。