農福連携で作業に来るスタッフに求められること

自然農園MITUの佐藤です。

新型コロナの影響がいろんなところで出ている中、障害者就労支援施設でも大きな影響が出ているところがあるようです。

特に、飲食店や販売関係の仕事をしていたり請け負っているところは大なり小なり影響があると聴きました。

そんな中、当園にも農福連携の問い合わせが来ます。

コロナの影響で仕事が少なくなったし、「三密」環境ではない農業が最適なのではないかと考えての問い合わせのようです。

 

問い合わせが増えてきた中で1つ1つ質問に回答したり、説明をするのが少し大変なので、

「作業に来るスタッフに求められること」と題して、農福連携で来るときに農家側に求められることを取り上げていきたいと思います。

 

あくまでも私が取り組んできた中で感じることですので、一般化出来るかどうかはわかりません。ご参考までに。

 

 

農福連携でスタッフに求められること

 

その1:体力

 

これは外作業をする上では、ある程度求められます。

特に農作業では思っている以上に体力が必要かなと思っています。

 

よく「当施設では外作業(草取り等)をしているので体力には自信があります!」とお話される施設さんが多いのでお試しで農作業をしてもらうと概ね1〜2時間位でヘロヘロになっています(もしかして、うちの作業内容がハードなのかしら)。

 

やり始めてからしばらくは体力が充分とは言えないので温かい目で見守っています。

見守っている間に「やっぱりキツイのでやめます」というケースもあれば、「これから体力つけてがんばります!」というケースもあるので、そこでお互いの意思を確認します。

 

 

その2:自然が好き

 

農作業する上では自然が好きか(農作業が好きか)は結構重要だと考えています。

施設さん側が「農作業させたい」と考えていても、実際のスタッフはそうでもないというケースも時折あるようです。

自然が好き/農作業が好きでないと、モチベーションも上がらず、ダラダラと作業してしまいがちです。

また、やる気がない雰囲気が出ていると周りも同じような雰囲気になってしまいがちですし、ミスも増えてしまいます。

こういったケースはお互いのためにならないので、うちでも研修期間中に様子を見させてもらいながらお断りする場合もあります。

 

一方で、仮に体力があまりなくても自然が好きで夢中になって作業をするスタッフさんにはこちらもその人の個性に合う仕事を少しずつ(本人の無理のないペースで)振るようにしています。

 

 

その3−工賃に見合った作業ができる

 

あまりお金の話はしたくないのですが、結構工賃先行型の施設さんが多いので

取り上げます。

他の農福連携関連のブログでも取り上げていますが、何もわからない状態で

「うちの施設では工賃◯◯円でお願いしています」と交渉を投げかけてくる

施設さんがいます。

 

施設さんの状況もある程度理解しているつもりではいるのですが、

その工賃に見合った作業ができるのか否かは見る必要があります。

 

MITUでは複数の施設さんからスタッフを受け入れている関係もあって、

個々の施設さんの基準よりも来てくれているスタッフが平等になるように

工賃を考えています。

 

MITU的な視点からの工賃設定にはいくつかの基準がありまして、

体力面、モチベーション、それと個々の作業に要した時間や出来などを加味して工賃の提案をしています。

 

時折、「健常者のようには働けないけど、彼らには最低賃金の給料を上げたい」と

熱い想いを伝えていただく方もいらっしゃるのですが、

ここは結構クールに捉えています。

 

農家はボランティアではないのです。

仕事、生業としてしているので、一定以上のものは必然的に求められます。

MITUでも「仕事」として農産物を食べてくれる方のために必死で取り組んでいるので、 

折り合いがつかなければお互いのためにならないので農福連携はやめたほうが良いとさえ思います。

 

では、どんな風にすれば工賃を上げ、かつ農家にも実りある農福連携になるでしょう?

私は、農家と施設の支援員が協働でスタッフ一人ひとりの得意な作業を見出して、 

スキルアップできるように支援する形が良いのではないかと思います。

 

 

その4−支援員に農業経験・体験経験があるか

 

支援員さんが農業を知っているあるいは経験があるか否かはかなり大きな違いだと思います。 

支援員さんも全く経験がない場合は、正直大変だと感じる農家が多いのではないかと思います。

 

うちでは、全くの未経験の場合はごく簡単な作業のみ依頼するようにしています。

例えば、簡単な草取り、圃場の片付けといった作業です。

ただあまりこういった作業はないのが現状です(他の農家さんも同じかも)。

 

未経験の支援員やスタッフに一から農業指導をするとなると、農家側も準備や指導にそれなりの時間を費やします。 

時間を費やしても「支援員が辞めて」とか「異動で」となると、それまで費やした時間が無駄になる場合もあります。

 

ですので、未経験の場合はまず農作業体験をしてもらったり、他の事業所で農作業をしているところで研修を受けてもらってから農福連携に取り組むほうが色々とスムーズかと思います。

 

 

実際のMITU現場にて

 

実際、MITUでは今どんな風に取り組んでいるかをご紹介します。

 

まず、最初から「工賃◯◯円で!」という施設さんには私の方からはつきっきりの指導や見守りはしていません。

うちでは「業務委託契約」という形で施設さんと契約していることが多いのですが、工賃発生時点で業務委託契約を結んでいます。

業務委託契約は「発注者がある業務の実施を受注者に委託し、受注者がこれを承諾して、発注者と対等の立場で、しかも自己裁量と責任により、委託された業務を完璧に実施する」ものなので、依頼した作業をきちんとこなしてもらうことに重点を置いています。

作業にあたってはスタッフさんができそうな作業でかつ工賃に見合った内容のものを振るようにしています。

よく「未経験なので、指導や見守りをしてほしい」と依頼を受けることもありますが、業務委託契約を交わしていて、スタッフや支援員の給料を支払いながら、支援員やスタッフに一から指導をして一日見守りをして、自分がやらないといけない仕事を放棄して、、、と自分の仕事の手を止めてつきっきりで指導したり見守るのには違和感を感じてしまいます。

 

自分がそこに時間と費用を費やしてしまうと、野菜を心待ちにしているお客さんが納得してくれるような野菜を育てる時間・費用が足らなくなります(普段から足りていないので)。

 

一方で、まずは契約とかをする前にスタッフ一人ひとりに合った作業を考え合いたいとか支援員さん自身が農業初めてなのでスタッフに指導できるように教えてほしい、という場合にはこちらも時間とか費用とか無視してじっくり向き合っています。

もちろんスタッフさんが自然や農業が好きというのが前提ですが、あとは個々のスタッフさんの体力やモチベーションとか集中力に合わせて作業を発掘するようにしています。

ある程度、MITUも施設側もスタッフさんの作業計画や見通しが経った時点で契約を交わして、仕事をお願いしています。

農家も施設側も(無理ない範囲で)やりとりをしていって、結果的にお客さんによりよい農産物が届けられるようになるといいなと思います。

また、スタッフ一人ひとりが楽しく個性を発揮できるような環境に身を置けて、支援員が各スタッフに合ったスキルアップ方法を考えてどんどん新しい作業が増えていって、みんながハッピーになれますよね。

 

 

 

いかがでしたか?

農業というと最近高齢化や担い手不足で農福連携に大きな期待がかけれられるになってきましたが、「安易」に取り組みをすると失敗します。

 

おそらく想像している以上に体力が必要ですし、合う合わないがある仕事だと感じています。

本当に体力的にやっていけるのか(体力をつけていきたいのか)、スタッフさんが自然や農作業が好きなのか、農業経験がないとすれば農家とどう取り組みを始めていくか、工賃先行型ではなくスタッフありきで農家とどう歩み寄っていくか。

 

ぜひ農福連携に興味ある方はこのあたりも考慮して取り組んでみてくださいね。