知られざる健康野菜、ヤーコンの魅力に迫る!栽培者の熱い想いと美味しい食べ方

みなさん、ヤーコンという野菜をご存知ですか? 近年、直売所で見かける機会が増えたり、テレビで特集されたりすることもあって、「話題の健康野菜!」として注目を集めていますよね。シャキシャキとした食感が特徴で、サラダやきんぴら、天ぷらにすると、その美味しさに手が止まらなくなるという方も多いのではないでしょうか。

実は、私たちMITUも、佐藤が農業を始める前から家庭菜園でヤーコンを育てていました。今回は、そんなヤーコンの知られざる魅力について、じっくりと語ってみたいと思います。

ヤーコンはどこから来たの?アンデスの恵みが日本へ

ヤーコンは、南米アンデス地方原産のキク科の植物です。見た目はサツマイモに似ていますが、根っこの部分が肥大してイモになります。日本にやってきたのは1985年(1984年という説もあります)で、ある種苗会社がニュージーランドから苗を導入したのが始まりとされています。当初は、まだヤーコンのことがよくわからず、ダイエット作物として日本各地で栽培されていたそうです。

その後、茨城大学の研究によって、ヤーコンにはフラクトオリゴ糖が豊富に含まれており、健康に良い機能性に優れていることが明らかになりました。

ヤーコンにも個性がある!知られざる品種の世界

実は、ヤーコンにもいくつかの品種(系統)があると言われています。茨城大学の研究では、16品種・系統の栄養価が評価されています。日本に最初に導入されたのは「ペルーA群」という品種でしたが、その後、エクアドルやボリビアから持ち込まれた品種と掛け合わせることで品種改良が進められ、現在では「サラダオトメ」や「アンデスの雪」といった日本生まれの新しい品種も誕生しています。

持ち込まれた品種と新しい品種、何が違うの?

1985年に導入されたペルーA群は、寒冷地での栽培には適しているものの、温暖な地域では芋が割れてしまう現象が起こりやすく、商品としての生産が難しいという課題がありました。そこで、芋が割れにくく、収穫量が多く、味や保存性にも優れた品種が開発されました。それが、「サラダオトメ」や「アンデスの雪」といった新しい品種です。

時折、「サラダオトメ」や「アンデスの雪」を自家採種している農家さんもいるようですが、種苗法により自家増殖は禁止されています。

MITUとヤーコンの特別な物語:震災を乗り越えて

MITUでは、ペルーA系統のヤーコンを自家増殖で毎年育てています。このヤーコンには、私たちにとって特別な思い入れがあります。

実は、このヤーコンは、我が家で唯一、東日本大震災前から残っている種なんです。私がペルーA系統の苗を購入したのは、今から約11年前。それから少しずつ育ててきました。震災前には、祖母がヤーコンの苗を少し分けてほしいと言っていたので、いくつか苗を譲っていました。

その後、東日本大震災が発生。自宅は津波ですべて流されてしまいましたが、幸いなことに、ヤーコンの苗は祖母が別の場所(大崎市古川)で育てていたため、祖母の育てていたヤーコンの苗を分けてもらい、震災後、再びヤーコンを作り始めることができました。それ以来、ずっと苗を自家増殖しています。

ヤーコンが喜ぶ場所:砂質の恵み豊かな土地

ヤーコンは、あまり場所を選ばずに育てられると言われています。実際に育ててみると、生命力が強く、どんな土壌でもある程度育ちます。しかし、私たちが栽培してきた経験から言うと、砂質で栄養・ミネラルが豊富な土で育てると、より良いヤーコンが育ちやすいと考えています。

そのため、MITUでは基本的に海砂の畑でヤーコンを育てています。同じ場所で育て続けると病気が発生しやすくなるため、数年に一度、別の場所に植え替えることもありますが、基本的には同じ土質の場所で栽培しています。昨年は、圃場整備が終わったばかりの畑で育てて失敗してしまいましたが、今年からまた砂質の畑で育てています。

ヤーコンを美味しく食べるために:寝かせるほど甘くなる魔法

ヤーコンをイベントで販売していると、「以前、別の場所で買ったヤーコンがエグみが強くて大変だった」という話を耳にすることがあります。栽培方法にもよるかと思いますが、一般的に、ヤーコンは収穫後、しばらく寝かせてから食べる方が甘くて美味しいと言われています。収穫してから1ヶ月以上寝かせると、甘みがどんどん増してきます。

ただし、ヤーコンを寝かせると、オリゴ糖が分解してショ糖などに変わるため、「オリゴ糖をたっぷり摂りたい!」という方は、収穫したてを食べるのがおすすめです。

MITUでは、収穫した直後から、こっそりと味見と称してポリポリ食べています。収穫したてのヤーコンは、ほんのりとした甘みと、少しの渋みがあって、意外と美味しいんです。この渋みは、ポリフェノールによるものと考えられています。

ヤーコンの旬は冬!見つけたらぜひ味わってみてください

いかがでしたでしょうか? まだまだ知らない人も多いヤーコンですが、簡単な調理で美味しく食べられますし、甘みもあって、食べると手が止まらなくなること間違いなしです(食べ過ぎには注意してくださいね)。ヤーコンの旬は12月~翌年春頃ですので、ぜひ見つけたら手に取って、その美味しさを味わってみてください。

参考資料

  • 『農業技術大系』野菜編 第11巻
  • 「ヤーコンの 16品種・系統間のポリフェノール含有量等の特性評価」竹中真紀子

このブログ記事で、ヤーコンの魅力が少しでも伝われば嬉しいです。

 

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