【大切なお知らせ】農園MITU、新たな道へ – 無農薬栽培からの転換と、変わらぬ想い

長らくご無沙汰しておりましたが、皆様にお伝えしなければならない、非常に重要なご報告がございます。

この度、私たちMITUは、これまで続けてきた栽培方法を大きく転換し、2022年以降、慣行栽培へと移行することを決断いたしました。

これまで、当園の野菜は栽培期間中、化学農薬や化学肥料を一切使用せずに育ててまいりました。
この方針は、私たちの根幹を成すものであり、これまでMITUの野菜を信頼し、選んでくださった皆様には、深くお詫び申し上げます。

今回の大きな方針転換に至った経緯と、それに至るまでの葛藤、そして今後の私たちの想いを、率直にお伝えさせてください。

路線変更を決意した、幾つかの理由

今回の決断は、決して容易なものではありませんでした。
長年貫いてきた無農薬栽培という信念を手放すことは、私たちにとって苦渋の選択でした。
しかし、いくつかの要因が複合的に重なり、この道を選択せざるを得なくなったのです。

1.面積拡大と、予期せぬ農福連携先の縮小

MITUは、「東日本大震災で被災した地元の農業を盛り上げたい」「被災した農地から、少しでも多くの元気と笑顔を届けたい」という強い想いのもと、設立当初から少しずつ栽培面積を拡大してまいりました。震災の爪痕が残る農地を再生し、活力を取り戻すことこそ、私たちの使命だと感じていたからです。

しかし、面積が拡大していく中で、予期せぬ事態が起こりました。新型コロナウイルスの感染拡大です。
これまで、私たちは障がいを持つ方々との農福連携を通じて、共に野菜を育ててきました。
しかし、感染リスクへの懸念から、連携先の活動縮小や連携解除の動きが広がり、十分な人手を確保することが困難な状況に陥ってしまったのです。
広大な面積を、これまで通り農薬を使わずに管理するには、物理的な限界がありました。これが、方針転換を考える最初のきっかけとなりました。

2.共に歩んだ同志の退任

これまで、MITUは共同経営者であり、販売を一手に担ってきたパートナーと二人三脚で運営してまいりました。
しかし、この度、その共同経営者が退任することとなりました。農福連携先の縮小に加え、頼れるパートナーの不在は、無農薬栽培を維持していく上での大きな痛手となりました。
ほぼ一人で広大な農地を管理し、高品質な無農薬野菜を育て続けることは、現実的に非常に厳しいと判断せざるを得ませんでした。

3.「より良い野菜」への新たな視点

就農当初、私たちは「化学肥料・化学農薬不使用=健康な野菜」という考えに強くこだわっていました。
少量多品目での栽培も、その信念に基づいたものでした。
しかし、農業に携わる中で様々な経験をし、多くのことを学ぶうちに、「無農薬」という栽培方法だけが、必ずしも「本当に健康で、美味しい野菜」に繋がるわけではないという考えに至りました。

もちろん、化学農薬の使用は最小限に抑えるべきだと考えています。しかし、それ以上に重要なのは、土壌そのものの栄養バランスや微生物の多様性を保ち、野菜が本来持つ力を最大限に引き出すことではないでしょうか。野菜が極力ストレスなく、健康に育つよう支援することこそ、今の私たちにとって最善の道なのではないかと考えるようになりました。

4.激化する自然の脅威

近年、私たちの地域でも、異常気象や予測不能な天候不順が頻発するようになりました。
2017年頃からその傾向は顕著になり、野菜を育てることが年々困難になっています。
「天候不順で作物が不作でも仕方がない」と割り切れるほどの経営状況であれば良かったのですが、現実は、農園の存続そのものが危ぶまれる瀬戸際に立つことも増えました。
この状況を打破し、安定的に皆様に野菜をお届けするためには、これまでの方針を転換し、より柔軟な栽培方法を取り入れる必要があると考えました。

これまで支えてくださった皆様へ

これまで、自然農園MITUの無農薬野菜を信頼し、ご購入いただいた皆様には、心より感謝申し上げます。
皆様の温かいご支援が、私たちの大きな励みとなっておりました。今回の突然の方針転換は、皆様のご期待を裏切る形となり、深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。

新たなスタート、「農園MITU」として

2022年からは、「自然農園MITU」から「農園MITU」へと名称を改め、新たなスタートを切ります。ホームページなどの情報も、今後少しずつ修正してまいります。

今回の転換は、決してこれまでの私たちの想いを否定するものではありません。
「被災地の農業を盛り上げたい」「美味しい、そして安心できる野菜を届けたい」という根本の想いは、これからも変わることはありません。

今後は、農薬の使用の可否に固執するのではなく、土壌の健康を第一に考え、その土地の力を最大限に活かした栽培に取り組んでまいります。
状況に応じて、必要最低限の農薬や化学肥料も適切に使用し、気候変動にも強く、安定した品質の野菜をお届けできるよう努めてまいります。

今回の決断は、未来へ繋がるための、苦渋の選択でした。これからも、私たちは真摯に農業と向き合い、皆様の食卓に笑顔を届けられるよう、精一杯努力してまいります。

今後とも、農園MITUを何卒よろしくお願い申し上げます。

関連記事

  1. スイートソルガムシロップへ挑戦する理由

  2. 農家が受け入れるときのポイントー農業と福祉のお話

  3. 農家がいなくなる?!現場で感じる高齢化

  4. スイートソルガムからどんなふうにシロップにするの?

  5. 農家が教える、さつまいもを美味しく食べるちょっとしたコツ|品種別おすす…

  6. 農家になるなんて、やめたほういいんじゃない?