土と笑顔が育む喜び!農福連携で体験するじゃがいも植え付け

新緑が目に鮮やかな季節となりました。2019年のゴールデンウィーク、平成から令和へと時代が移り変わるこの時も、私たちMITUの畑では活気に満ちた作業が繰り広げられていました。

NPO法人ほっぷの森の皆さんと共に歩み始めて早3年。共に汗を流し、土に触れる日々は、あっという間に過ぎ去っていきました。3年目を迎え、私たちは農福連携の可能性をさらに広げるべく、少しずつバージョンアップを図っています。

先日、そんな進化の過程で、スタッフの皆さんと一緒にじゃがいもの植え付けを行いました。毎年、植え方を少しずつ工夫することで、誰もが無理なく、そして楽しく作業できる方法を模索しています。今回は、そんな農福連携の現場から、笑顔あふれるじゃがいも植え付けの様子をお届けします。

今年の挑戦!マルチ栽培で草取りから解放

今年のじゃがいも栽培で、私たちが新たな試みとして導入したのが「マルチ」という被覆資材です。黒いビニールシートで畝を覆うこの資材には、いくつかの目的があります。

最も大きな理由は、ずばり「草取りの手間を減らしたい!」という思いからでした。畑の面積が少しずつ広がるにつれて、また、スタッフの年齢を重ねるにつれて、どうしても足腰への負担が気になるようになってきました。そこで、その年の状況に合わせて、できるだけ負担を減らせる作業はないかと検討した結果、マルチの導入に至ったのです。

自然栽培や自然農法では、マルチの使用を推奨しない考え方もあるようです。また、農福連携においては、草取りが障がいのある方の仕事の一つとして適しているという意見もあります。しかし、MITUでは、そうした固定観念にとらわれず、自分たちの負担を減らすこと、そしてスタッフが草取りに時間を費やすよりも、他の作業に取り組むことで工賃向上に繋がるのではないかと考えました。除草作業を必要最低限にすることで、より効率的な作業体制を目指したのです。

こうして、今年のじゃがいも栽培は、以下の流れで進めることにしました。

  1. 堆肥散布・トラクター耕うん
  2. マルチを張る
  3. 種芋を切る
  4. 植え付け
  5. 収穫

この中で、堆肥散布と植え付けの作業を、ほっぷの森の皆さんと一緒に行うことにしました。

知恵と工夫でスムーズな植え付けを実現

堆肥の散布は、畑全体に均一に肥料を撒くだけなので、みんなで一斉に取り組みました。一方、じゃがいもの植え付けは、いくつかの工程に分け、それぞれの工程で誰がどのように作業するのが最も無理なく、かつ効率的に進められるかを考えました。

今回、私たちが考えた作業分担はこちらです。

  • 穴を開ける: かつてこたつテーブルに使われていた足の部分を再利用。目標とする深さに印をつけ、その深さまでひたすら穴を開けてもらいます。持ちやすく安定しているので、力を入れやすいのがポイントです。
  • 種芋を穴に入れる: 切り分けた種芋を、開けてもらった穴に一つずつ入れていきます。この時、同じ穴に二つ入れてしまう方や、最後まで種芋を入れられない方もいるため、周りのスタッフが声をかけたり、手を添えたりしながらサポートします。
  • 土を穴にかぶせる: 種芋を入れた穴に土をかけ、マルチが風で飛ばされないようにしっかりと覆います。この工程では、穴に種芋がきちんと一つずつ入っているか、そして穴の底までしっかりと入っているかを確認してもらいながら、丁寧に土をかぶせてもらいます。

これらの作業をスムーズに行えるよう、私たちは事前の準備も怠りません。作業前日には、マルチとマルチの間の通路部分を管理機で耕し、畝を立てます。さらに、マルチの際にたっぷりと土を寄せておくことで、穴を開ける作業、種芋を入れる作業、土をかぶせる作業の際に、スタッフが深くしゃがむ必要がないように工夫しました。これにより、足腰への負担を軽減し、より快適に作業に取り組める環境を整えました。

笑顔と達成感!農福連携の喜び

そして、いよいよ実践の日。事前に考えた作業分担をもとに、実際にスタッフの皆さんに作業に取り組んでもらいます。一人ひとりの様子を見ながら、支援員の方と相談し、それぞれの得意なことや、無理なくできる作業に役割を分担していきます。

今回、5アールという広さの畑にじゃがいもの植え付けを行いましたが、当初の予想では、一日で終わるかどうかという見込みでした。しかし、なんと実際には、予定よりも一時間以上も早く作業を終えることができたのです!

作業を終えたスタッフの皆さんの顔は、達成感と喜びに満ち溢れていました。「やったー!こんなに早く終わったー!楽しかった!」という声があちこちから聞こえてきて、私たちも本当に嬉しくなりました。

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