さつまいもの育て方ーMITUの農園日記

さつまいもというと私(佐藤)にとっては秋の味覚。
ふかし芋に焼き芋、スイートポテト、大学いもなどなど、思い浮かべるだけでもよだれが出てきます。 
近年では、様々な品種のさつまいもも出てきていますね。

このブログでは、東北地方でのさつまいもの育て方と保存方法をご紹介。
家庭菜園で育てる上で参考にしていただければと思います。

東北でもよく育つさつまいも

私達の祖母の時代には、さつまいもは東北ではあまり育たなかったといいます。
元々、さつまいもは熱帯地域の植物なのである程度の気温が必要なのです。

ですが、徐々に平均気温も高くなってきており、東北でも普通に育てられるようになりました。  

過去30年のデータや2000年以前と2018年の気温を比較してみたりすると、7月の平均気温が高くなってきていたり、30℃を超える日も多くなっています。 
これが温暖化の影響なのか、はたまたミニ氷河期の到来の前触れなのかはわかりませんが、、、。 

仙台でも2018年は暑い日が続いたので、大きな芋がゴロゴロ。 
MITUの畑では700gを超えるさつまいもも多く、「大きすぎて販売しづらい、、、」というくらいです。  

さつまいもの育て方ーMITUでのやり方

植え付け前

さつまいもは砂質で育てると形がキレイで美味しいものが採れやすいです。

MITUが営農している地域は元々、砂質の畑が多く、芋を栽培するのには良い土壌環境。
植え付けの前の年に緑肥をすき込むか、前年に植えたものをそのまますき込みます。
あとは土壌分析の結果を見ながら、必要に応じて土壌改良材(ミネラル資材等)を投入しています。  

石灰系の肥料でPhを上げるものは、さつまいもに病気が出やすくなってしまうため、大量に入れないように気をつけます。
さつまいもを植える畑のPhは5.5〜6.0くらいにします。

植え付け少し前にはマルチを張ります。
自然栽培ではマルチ栽培は好まれない場合もありますが、雑草が繁茂してしまうと虫や病気、ネズミ被害が増えてしまうため、マルチを張ったほうが良いです。

植え付け

さつまいもの苗は、5月中旬ころから6月上旬に定植します。
仙台あたりでこれよりも早い時期に植える人もいるのですが、5月中旬頃までは遅霜の可能性もあったり気温が低い日もあるので、安全な5月中旬〜6月上旬がよいです。

手で植える場合は、マルチに穴を開け穴を堀りそこに苗を植えます。
植え方は色々あります。大きい芋を採りたい場合は垂直植え、1つの株からバランス良く収穫したい場合は水平植えで植えます。

植え方については農水省のHPに掲載されているものを見ると、わかりやすいです。
https://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_tanken/satu/04.html

1本1本植えるのが大変!という場合は、さつまいもを植える際に使う道具を使用すると楽です。
インターネットでも購入できる「さすけ」という道具。 

これに苗を巻き付けて地面に刺すときれいに植え付けができます。
2名で苗を渡す人、植える人に分かれて作業を行うとゆっくり植えても1時間で600本以上は植えられます。  

(注)最近、全国的に「さつまいも基腐れ病」という病気が蔓延しています。この病気は種芋や苗の時点で感染していることも多く、一度広がると畑全体が全滅。発生した畑ではしばらくさつまいもが植えられなくなります。苗を植える際には、ウイルスフリーの苗を購入するか、一般の苗を購入した場合は薬剤による消毒をしましょう。

植え付け後の管理

植え付け後は、適宜、草取りをしたり、健康に育てるために微生物資材(納豆菌や乳酸員を自分で培養したもの)を散布します。
また、ツタがはい、芋の肥大が始まりそうかなという頃に、つる返しをします。 

つる返しはつるの先の方から伸びる根に栄養がいかないようにひっくり返し、収穫する部分の芋が太るようにするための作業です。
また、つるを返していたほうがネズミの被害が少ないような印象です(*1)。

さつまいもはカビ由来の病気がつきやすいため、「あれ、おかしいぞ?」と思ったら、消毒などをするようにしましょう。

いざ、収穫!

さつまいもの収穫は植え付けたあと、100〜120日を目安に行います。
最初に試し掘りをして、程よい大きさになっていたらあとは掘りまくるのみ!です。
農家では、「堀取機」という機械を使うことが多いのですが、小さい面積であれば手掘りで。

掘ったあとの保存は?

さつまいもは掘った直後のものはあまり美味しくありません。
1週間以上寝かせたあとに食べることをおすすめします。 

農家では、キュアリングという方法(32~35℃ の 温度 と90~99%の 湿度 でさつまいもを貯蔵し貯蔵中のサツマイモの腐敗を防止する)で保存させ、長期保存することで甘みを引き立たせます。一般的には、新聞紙にくるんで室内に置くと気温が9℃を下回らない限り、春先まで食べることができます。この際発泡スチロールや箱にいれて密封してしまうと、芋が呼吸できず傷みやすくなるため、定期的に箱を開けるか箱に小さい穴を何個か開けておくといいです。

美味しいさつまいもの見分け方

よくお客さんから「美味しいさつまいもはどう見分けるの?」とご質問いただきます。
スーパーで買う際の見るポイントは大きく4つ。

①紡錘状の形をしているもの

典型的な芋の形ですね。極端に丸いものよりはふっくらとした形のほうが美味しいです。 

②黒い蜜が出ているもの

黒い蜜のようなものが切り口から出ているものはとても甘いです。
黒い蜜の正体は、ヤラピンという物質。整腸作用などがあると言われているものです。
さつまいもを切ると白い液がにじんでくることがありますが、それが空気に触れて黒くなったものです。 

③表面のくぼみが浅いもの

表面のくぼみが深いものは繊維質が多くもさもさしたものが多いので、浅いものを選ぶようにしましょう。 

④つやつやしている・同じ大きさでもずっしりしたもの

最後に

いかがでしたか?さつまいもの育て方〜保存の仕方までを簡単に見てきました。
当園でも園主がさつまいも好きということもあり、色んな種類のさつまいもを植えています。

当園で育てているさつまいも、、、まれに塩味がします(笑)
当園の畑は海から5〜700メートル内陸にある畑。
地下水が低く海水が上がってくることがあったり、海からの潮風が直にあたる畑なので、ほんのり塩味のするさつまいもができるのではないかと個人的に考えています。

みなさんの育てるさつまいもも土地の気候や環境によって味がちょっぴり変わるかも?!

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