化学農薬を使った野菜はあまり食べたくないし、子どもにも食べさせたくない。
でも、有機栽培とか自然栽培って何が違うの?
このような疑問を持つことはありませんか?
このブログでは、有機栽培と自然栽培の違いと野菜を選ぶ際の方法を考えていきたいと思います。
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有機栽培って何?
有機農業とは、農水省の「有機農業の推進に関する法律」第2条で、
(1)化学肥料や農薬を使用しない、
(2)遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、
環境への負荷をできる限り低減する農業生産の方法と定義されています。
また、有機JASでは、
(1)
周辺で使われた禁止農薬や禁止肥料が入ってこないように管理し、種まき又は植え付けの前2年(多年生にあっては3年)以上の間、有機栽培を行った水田や畑で生産。
(2)
有機栽培においては、ほ場から出る農産物の残さに由来するたい肥等を利用し、禁止された化学肥料は使用せず、認められた 肥料や土壌改良資材だけで土づくりをする。
(有機JASのマーク;農水省ホームページから引用)
といったことが決められています。詳しくは農林水産省のこちらのページを見てみてください。
有機農業推進に関する法律と有機JASとでは若干異なる部分もありますが、基本的には化学肥料や農薬(有機JAS規格以外の肥料や農薬)を使わずに、周辺環境に配慮した栽培をすることと解釈できます。
国では、有機JASの認定を取得した農産物だけが「有機野菜」や「オーガニック」といった用語を使用できることとしています。
生産工程や栽培履歴等、きっちりと管理された農産物のため、「どう作ったのかしら?」と気になる方は有機JASの野菜が良いと思います。
有機栽培の普及率は?
日本では、2018年時点での調べでは有機JAS認定の農家・農業法人は全体の0.2%、有機JAS以外で0.3%となっています。
何故、有機JAS認定の農家が増えないのか?
原因の1つに、取得および継続のための費用があります。
有機JASは農家が取得するためには、個人だと10万円以上、グループだと20万円以上かかります。
これは実地検査費用を含めず、実地検査費用は検査する団体によって金額が異なります。
また、1年毎の更新費用は、個人が7万円以上、グループでは15万円以上かかります。
これだけでもかなりの出費です。
大規模生産法人や資金力のある農家は出来ますが、普通の中小規模の農家ではかなりハードルが高いといえます。
2021年、政府は「みどりの食料システム戦略」というものを策定し、その中で有機農業を耕地面積の25%、100万haに拡大することを発表しました。
ただ農家の視点で見ると、日本の気候を考えると有機農業で100万haはかなりハードルが高いのでは?と思っています。
自然栽培って何?
自然栽培とは、公益財団法人自然農法国際研究開発センターによると、
1.人間の健康を維持増進する食べ物を生産すること。
2.生産者と消費者の双方に経済的・精神的メリットがあること。
3.誰にでも実行でき、かつ永続性があること。
4.自然を尊重し環境保全に責任を持つこと。
5.人口の増加に伴う食糧生産に責任を持つこと。
が自然栽培の条件とされています。
一度、自然農法国際研究開発センターの方のお話を聴いたところ、自然栽培は有機栽培の一部である、とのこと。
具体的には、5つの条件に向けて取り組んでいる農法も自然栽培と捉えることができるそうです。
MOAという団体では、独自に自然栽培の栽培規格を定めており、その規格に準じて野菜等のランク付けを行っています。
自然栽培の中でも実践農家や団体によって多少解釈の違いや捉え方の違いもありますが、基本的には、環境に最大限配慮しつつ、植物性の堆肥を中心とした栽培方法(魚カスなどの使用がOKという場合もある)で遺伝子組換えの種子やF1の種子を使わずに育てた野菜と考えることが出来ると思います。
どんな野菜を選ぶといいの?
有機野菜とかオーガニック野菜とか自然栽培の野菜とかたくさんあるけど、どれがいいの?!という思う方もいらっしゃると思います。
私も最初はそうでした。
結論から述べますと、農法に限らず、”旬の時期に健康に育った野菜で新鮮なもの”がよいと考えています。
とはいえ、やっぱり化学農薬を使っていない農産物を食べたい!と思う人もいると思いますので、ここで有機栽培や自然栽培の野菜について価格や特徴をみていきましょう。
有機野菜
有機JAS:
認定機関から認証を受けた野菜。生産工程もしっかりしているので、どう生産されたか気になる人にはおすすめ。
ただし、価格が高いことが多いです。また、必ずしも無農薬ではない(有機JAS指定の農薬を使用している場合がある)ので、農薬を気にする方は避けたほうがいいかも知れません。
各都道府県で認証を受けたもの:
各都道府県でも環境に配慮した農産物に独自の認証を出しているところがあります。
私が住む宮城県でも「環境に優しい農産物認証」というものがあり、その中の区分で「化学肥料0化学農薬0」で栽培されたものがあります。
こちらは、認証を受けたものにシールを貼って販売することが決められているので、そのシールを見て判断するのがよいと思います。
有機JASに比べて値段は少し抑え気味で販売されていることが多いです。
自然栽培の野菜
MOAのように規格を定めているものが多いです。
例えば、
化学農薬や化学肥料だけではなく、動物性の肥料やビニールマルチのような化学的に作られた資材を使わずに自然のもののみで栽培した野菜
→プレミアム規格
化学農薬や化学肥料は使用しておらず、植物性の肥料等を中心に使用しているが一部動物性の肥料等を使用している
→通常規格
といったような形です。団体によっては規格が異なるため、どんな栽培方法で作られたのか自身で調べる必要があります。
値段は有機野菜と同程度のものが多いです。
上記の有機野菜や自然栽培の野菜は、地域によっては地元産のものがなく、県外などから県内に運んでくる場合が多いです。
2022年時点での話ですが、最近ではイオン系のスーパーで有機野菜が手に入りやすくなりました。
また、インターネットでは楽天ファーム、食べチョクはオーガニックの野菜を中心に販売、ポケットマルシェでも有機栽培や自然栽培の農作物が購入しやすくなりました。
実は…
有機栽培で育てました!とか自然栽培で育てました!という野菜でも、認証を取っていないものは多くあります。
認証を取っていないものに関しては、自己判断で買うことになります。
実は有機栽培や自然栽培をしています!という方でも「それって農薬だよ…」とか「この肥料は化学肥料の部類になるよ…」とか「独自の判断で肥料でないと言っているよ…」と勘違いをして栽培されている方もいたりします。
この部分に関しては、その農家さんを信頼できるか否かで判断することになります。
有機野菜&自然栽培の野菜=美味しい&健康?
有機野菜や自然栽培で育てた野菜=美味しい&健康だから、という理由で購入する人も多いのではないかと思います。
実は、研究論文等を調べると有機野菜や自然栽培の野菜=健康とは言えません。また、美味しいともいいにくく、農家さんがどのように育てたかで味は全然違います。
栄養面等においても慣行栽培、有機野菜、自然栽培の野菜による違いは、科学的に明らかになっていないんです。
現時点では、栽培方法の違いで栄養価に差はないという報告のほうが多くなっています。
では、どんな野菜が良いのか?
”旬の時期に健康に育った野菜で新鮮なもの”を食べごろのタイミングで食べることです。
これが一番美味しく、かつ栄養がたくさんつまった野菜を食べる方法です。
このことについては、下記のブログで詳しく取り上げています。
いかがでしたか?
有機栽培や自然栽培の違いや野菜を選ぶ時のポイントを取り上げてみました。
ぜひ、野菜を購入する際の参考にしてみてくださいね。