野菜とアレルギーのお話①-慣行栽培とアレルギー

あなたはアレルギーになったことがありますか?

私はアレルギーかどうかはわからないのですが、牛乳や脂っこいもの、塩分多めのもの、

チョコレートや上白糖が昔からあまり食べることが出来ず、

小さい頃はよく腹痛やら嘔吐やらを繰り返していた記憶があります。 

 

私たちがイベント等で野菜販売をしているときに

「化学肥料や化学農薬を使った野菜だとアレルギーになりやすいんでしょ?」と聴かれることがあります。

 

正直なところ、あまりこれまで野菜とアレルギーのことを考えてきたことがありませんでしたが、質問をいただくことが増えてきたので調べてみました。

 

 

化学肥料でアレルギーになる? 

 

インターネットで野菜にまつわるアレルギーのことを調べていると、

目に入ってきたのは「化学肥料を使うことで、アレルギーになる」と主張するものでした。

 

見てみると、化学肥料を使った場合、硝酸塩が多く含まれた野菜が育つことが多く、硝酸塩が多く含まれた野菜を食べると、

ガンやアレルギーなど病気の原因になるというものでした。

 

 

 

硝酸塩とは?

 

硝酸塩は自然界に広く分布しています。

植物は、窒素を硝酸塩やアンモニウム塩という形で根から吸収し、光合成でできた炭水化物からアミノ酸やタンパク質を合成しています。

植物が吸収する硝酸塩などの量が多かったり、日光に当たらなかったりすると、吸収された硝酸塩はアミノ酸やタンパク質に

合成されずに貯まると考えられています。

 

硝酸塩は口から摂取すると胃を通過して小腸で吸収され、血液に移り、一部が唾液中に分泌、

大部分は腎臓を通じて尿中に排出されます。

唾液中に分泌された硝酸塩の一部は、口腔内の微生物によって、亜硝酸塩になります。

 

野菜の硝酸塩とアレルギーとの関連は調べてもよくわかりませんでしたが、 

硝酸塩は近年の研究で身体に必要なものであることがだんだんと分かってきています。

 

 

硝酸塩はどのくらい摂取すると身体に悪いの?

 

硝酸塩の摂取量は、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合というものでは、 

1日の許容摂取量を体重1キロあたり0〜5mgとしています。

硝酸塩は野菜に多く含まれていますが、野菜の中の硝酸塩がどの程度血液に取り込まれるのかなどといったことがはっきりわかっていないことから、 

野菜を食べる際の基準は適当ではないと言われています。

 

また、硝酸塩というと食べることでニトロソ化合物という発ガン性物質ができることを危惧する内容のブログもありますが、 

現時点ではメカニズムがよくわかっておらず、動物実験でも異常がないことから関連性はよくわかっていません。 

ただ、野菜には抗酸化物質が多いので、仮に硝酸塩を多く含んでいたとしても野菜を食べることでガンの予防になると考えられています。

 

 

硝酸塩は毒なのか?

 

硝酸塩はこれまでヒトに対して有害だと見なされてきました。

しかし、最近の研究では、血管を拡張して血流を高めると同時に血圧を下げるといった働きを 

していることもわかってきました。

硝酸塩の多く含まれた野菜は、抗酸化物質の含有量が減ったり、環境汚染の原因となることから 

大量に施肥することには問題がありますが、適量の肥料は必要であると考えられています。

 

 

 

添加物としての亜硝酸塩は?

 

野菜以外でも加工食品(主にハムやソーセージ)に亜硝酸塩が用いられていますが、 

この加工品の添加剤として使われている亜硝酸塩がぜんそくなどのアレルギーに関係がある可能性があると 

フランスの研究で発表されました。 

 

しかし、加工肉とぜんそくの関連性は証明されておらず、今後さらに研究が必要であると専門家は指摘しています。

現状では、野菜摂取時に比べて加工食品への亜硝酸塩の添加する量はかなり少ないとは言われていますが、 

どのようなメカニズムでアレルギーが生じるのか、ないしは生じないかといったことはわかっていません。

 

1つ言えることは、肉の食べ過ぎ自体が健康には悪いので適量(50g/以下)食べることを推奨しています。 

 

 

農薬が引き起こすアレルギー

 

角田和彦氏(2015)は、近年、小さい頃から環境化学物質にさらされる機会の多い人達が治りにくいアレルギーになっていると指摘しています。

農薬は年々変わってきており、「より安全性の高い」農薬が開発されてきていますが、

その都度、ヒトへ何かしらの悪影響が出る可能性があることが指摘され続けています。

 

正直、一つ一つ確認するのが難しいくらい、農薬の入れ替わりは激しいです。

昨年まで使用可能だった農薬が今年は使用禁止になっていたり、各メーカーでいろんな農薬が開発・販売されていたりと。

農薬に関しては、別の機会に詳しく取り上げてみたいと思います。

 

農薬には、残留するものと栽培期間中に雨等で洗い流されほとんど無害になると言われているものがあり、 

アレルギーの原因となると考えられているものの多くは残留しやすい農薬であると考えられています。

 

農薬は非常に捉え方が難しいと個人的には考えています。

ある研究では残留農薬がアレルギーを引き起こす可能性は低いという結果が出たとしても、 

遺伝的にアレルギーになりやすい人なりにくい人、その人の生活環境や食事などいくつもの要因が関係しているため、 

「絶対に安全」というものはないと考えています。 

 

そのため、残留農薬の値が基準値以下でもアレルギー症状が出る人もいますし、全く平気な人もいます。

 

 

 

無農薬の農産物でアレルギー?

 

これは京都大学大学院農学研究科の森山氏が2005年に発表した研究がきっかけで話題になりました。

無農薬の野菜や果物は、病害虫にさらされやすく、病害虫の被害にあうと実を守るために「天然毒」を作り出す。 

その天然毒を摂取することでアレルギー症状が出やすくなる、という話が出たのです。

 

これは、半分あたっているようで半分外れかなと考えています。

植物の出す物質でアレルギー症状を出す人もいらっしゃるかと思います。

 

確かに病害虫にさらされた野菜は自己防衛として虫の嫌う物質を出したりします。

例えば、キャベツは虫に食べられすぎるとロウ物質を出して、虫が食べれないようにします。

 

一方で、そもそも病害虫がひどい野菜は無農薬であろうと農薬を使用したものであろうと販売はしないことが大半です。 

ごくまれに直売所で虫に食べられまくった野菜は売られていますが、非常に稀かと思います。

 

ですので、無農薬=天然毒があって危険、という発想は早計であると思います。

 

 

 

まとめ

 

簡単にまとめてみますと、  

 

・野菜に含まれている硝酸塩は、アレルギーなどの原因となるかはわからないが、体に良いものである。

・ただし、「適量」の肥料を使用して育てた野菜であることが前提。

・農薬は、ときに残留する農薬でアレルギーが出やすくなる。

・人によって許容量(アレルギーになる量)が異なるため、量を判断するのは難しい。 

・気になる人は、農薬をできるだけ使用していない野菜を食べるのが良い。  

・無農薬でもアレルギーになる可能性はあるが、無農薬=アレルギーになる危険な食べ物と考えるのは早計。

 

となろうかと思います。 

 

いかがでしたか?

様々な環境科学物質にさらされていると言われている現代人。

化学物質自体にアレルギー反応などを起こす化学物質過敏症で悩みを抱えている方もいらっしゃいます。

 

バランスの良い食事や生活、適度な運動など生活全体を見つめ直しながら、より健康な生活を過ごしていきたいですね。

 

 

余談

 

私個人は、花粉症といくつかの食べ物に対してアレルギーの疑いがありました。 

よくお腹も壊して、周りからよく「体調大丈夫?」と言われるほどの病弱男でした。

農業を始めて5年が過ぎ、あれほど悩まされていた花粉症はあまり気にならなくなりました。 

食生活もだいぶ変わり、身体が反応するものはほとんど食べていません。 

自分の畑で採れた野菜やら仲間の農産物をメインに食べているので、スーパーのものはあまり食べなくなりました。 

今では、昔のヤセ男が嘘のように大きくなり、身体もすこぶる調子が良くなりました。

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