【感謝】畑から元気をお届けするはずが、皆様から温かいエネルギーをいただきました。

晩秋の冷たい風が吹き抜ける11月。台風19号の爪痕が深く残る畑で、私たちはひたすら土と向き合う日々を送っていました。佐藤の膝が悲鳴を上げ、MITUの二人揃って足腰が砕けそうになりながらも、懸命に農地の復旧作業を進め、遅れていた作物の収穫、そして来たる冬に向けた玉ねぎの植え付けに追われていました。

そんな慌ただしい日々の合間、ふと湧き上がった衝動。「そうだ、落花生の収穫体験をやってみよう!」11月9日、急な告知にも関わらず、本当にたくさんの方々が私たちの畑に足を運んでくださいました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。初めての試みで、至らない点も多かったかと思いますが、この時期ならではの味覚と体験を届けたいという一心で開催を決断しました。

「畑から元気を届ける」はずが…

私たちの活動の根幹にあるコンセプトは「畑から元気を届ける」こと。豊かな土壌で育った野菜を通して、お客様の心と身体を満たし、日々の活力となるような元気をお届けしたい。その想いを胸に、私たちは日々畑と向き合ってきました。

しかし、今回の落花生の収穫体験を通して、驚くべきことに、そして何よりもありがたいことに、元気をもらったのは、私たちの方だったのです。

頭から離れなかった「離農」という二文字

実を申し上げますと、特に代表の佐藤は、今年の異常気象、6月頃からの長雨と日照不足、続く猛暑、そして再びの長雨、極め付けは台風19号と大雨によって、精神的にも体力的にも、まさに限界を迎えていました。

「このままでは会社が立ち行かなくなってしまう…」6月から必死で畑に勤しみ、秋冬野菜でなんとか持ち直せるかもしれないと一縷の望みを抱いていた矢先での、あの容赦ない台風でした。

台風や大雨の後、多くの方々に助けられながら、救える作物を救うために奔走しましたが、腐敗したり病気になったりして、お客様に届けられなかった野菜たちのことを思うと、申し訳なさで胸がいっぱいになりました。

経営状況も逼迫し、「もう再建は難しいのではないか」「人生をかけてきた農業が、ここで終わってしまうのか」「それもこれも、経営者としての自分の力不足だ」「もしかしたら、離農という道しかないのか…」と、負のスパイラルが頭の中で何度も何度も繰り返されていました。正直、精神的にかなり追い詰められていたのだと思います。

閉塞感を打ち破った、ふとした温かい予感

そんな重く、暗く沈みがちだった私の心に、一筋の光が差し込んだのは、台風の被害を比較的免れた落花生の畑を見た時でした。「なんだか、みんなの笑顔とか、楽しそうな笑い声が聴きたいな…」と、ふと思ったのです。

その瞬間的な思いつきのまま、私たちは急遽、落花生の収穫体験を開催することを決めたのです。

畑から湧き上がる、予想外のエネルギー

「思い立ったが吉日」とばかりに、開催数日前に告知した落花生の収穫体験。十分な事前準備もできず、手探り状態での開催となってしまったこと、この場を借りて改めてお詫び申し上げます。ご参加いただいた皆様には、多々ご不便をおかけしたことと思います。申し訳ありませんでした。

落花生は、東北地方ではまだあまり馴染みのない作物かもしれません。土の中に実がなっているという光景は、ある種の驚きと楽しさがあるようです。私も初めて収穫した時、「おお!すげー!」と感動したことを鮮明に覚えています。

その見た目のインパクトだけでなく、土から掘り上げた瞬間にふわりと香る落花生独特の香りは、畑でしか味わえない特別なものです。

収穫体験では、参加者の皆様が「おお!すごい!」と目を輝かせながら土を掘り返し、収穫の喜びを分かち合ってくださいました。黙々と作業に集中し、充実した時間を過ごされたという方もいらっしゃいましたし、ご家族やご友人同士で和気あいあいと会話をしながら収穫を楽しむ姿も見られました。

その光景を見ているうちに、まるで畑から様々な色の元気や活力が湧き上がってくるような気がして、私たちの方が、参加者の皆様からたくさんの温かいエネルギーをいただいたのです。

励ましの言葉が、新たな決意をくれた

さらに、Facebookや前回のブログ記事をご覧になった方々からは、本当にたくさんの励ましのメッセージや応援の言葉をいただきました。

一時、「離農」という言葉が頭をよぎっていた自分が、いかに自己中心的であったかを深く反省しました。いつも私たちの活動を支えてくださっている方々、様々な形で関わってくださっている方々に、美味しい野菜と、私たちの想いをしっかりと届け続けていかなければならない!と、改めて強く決意しました。

正直なところ、今後の見通しがどうなるのか、どのようにこの状況を乗り越えていくのか、まだ私たち自身で見えていない部分も多くあります。

しかし、今回の収穫体験を通して、そして皆様からの温かい励ましの言葉を通して、私たちがいただいた元気や勇気は、計り知れません。その分、これからも私たちは、皆様に「畑から元気」を届けられるよう、精一杯努めていきたいと思います。

今回の落花生の収穫体験は、私たちにとって、単なる収穫イベント以上の、皆様との温かい繋がりを再確認し、明日への活力をいただく、かけがえのない時間となりました。ご来園いただいた皆様、そして応援してくださった全ての皆様に、心より感謝申し上げます。

これからも、MITUは皆様の食卓に笑顔と元気をお届けできるよう、一歩ずつ、前を向いて進んでまいります。今後とも、変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

皆様の温かい応援が、私たちの元気の源です。本当にありがとうございます!

関連記事

  1. 農家が受け入れるときのポイントー農業と福祉のお話

  2. 有機栽培の野菜が良いと言われる理由−抗酸化物質のお話

  3. スイートソルガムシロップの試作へ!

  4. 野菜とアレルギーのお話①-慣行栽培とアレルギー

  5. オーガニック野菜ってなに?自然栽培の野菜とは違うの?

  6. 土と生きる喜び、未来を育む希望:仙台の農園から、魅力溢れる四季の便り