【驚愕の抗酸化力3倍!】震災復興の地で育った人参の秘めたる力と土壌への挑戦

皆様、大変ご無沙汰しております!MITUです。

久しぶりのブログ更新となる今回は、私たちMITUが愛情込めて育てている人参が、「栄養価コンテスト2022」で驚くべき分析結果を得たという話題をお届けしたいと思います。
客観的なデータとして示されたその数値、そして今後のさらなる品質向上に向けた課題まで、じっくりと掘り下げてご紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

知っていますか?日本の農業を底上げする「栄養価コンテスト」とは

まず、「栄養価コンテスト」についてご存知ない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご説明させてください。
このコンテストは、一般社団法人日本農業普及協会が主催し、毎年開催されている由緒あるものです。
その趣旨は、単に農産物の出来栄えを競うのではなく、栽培方法と栄養価の深い関係性を科学的に探求し、ひいては日本の農産物全体の栄養価を高めていくという壮大な目標を掲げています。

より詳しい情報にご興味のある方は、ぜひ一般社団法人日本農業普及協会のホームページ(http://www.jofa.or.jp/)をご覧ください。日本の農業の未来を見据えた、意義深い取り組みであることがお分かりいただけるかと思います。

コンテストでは、多岐にわたる項目が厳密に測定されます。具体的には、Brix糖度(甘さの指標)、抗酸化力(体の酸化を防ぐ力)、ビタミンC(美容と健康に不可欠な栄養素)、硝酸イオン(肥料成分の吸収度合い)、そして実際に食した際の食味評価の5項目です。

これらの測定結果は、「野菜の健康診断スコア」と名付けられた分かりやすいグラフで示され、各項目における平均値と比較することで、自身の農産物がどのような状態にあるのかを一目で把握することができます。
これは、私たちのような生産者にとって、日々の努力が具体的にどのような成果に繋がっているのかを知るための貴重な機会となります。

コンテストへの挑戦:客観的な視点と未来への指標

MITUがこの栄養価コンテストに応募した最大の目的は、私たちが丹精込めて育てている農産物を、主観的な評価ではなく、客観的なデータとして捉えることにありました。
日々の農業においては、野菜たちが健康に、そして力強く育つよう、私たちは最大限の愛情と努力を注いでいます。
しかし、「健康に育っている」という実感だけでは、それが実際に農産物の中身、つまり栄養価にどれほど反映されているのか、明確には分かりません。

もちろん、お客様から「美味しい!」というお声をいただくことは、私たちにとって何よりの喜びであり、日々の励みになります。
しかし、より科学的な視点から、自分たちの農産物の現在地を知り、さらなる品質向上を目指したいという強い思いがありました。

もしかすると、「コンテスト」という言葉から、他の生産者さんとの優劣を競う場というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、正直なところ、私たちは他の生産者さんとの比較にはあまり重きを置いていません。
なぜなら、栽培する品種、土壌の質、周囲の環境、使用する堆肥や肥料など、農業を取り巻く条件はそれぞれの生産者によって大きく異なるからです。そのような異なる条件下で単純に優劣をつけても、あまり意味がないと考えています。

それよりも、自分自身の農産物の客観的な数値をしっかりと受け止め、その結果を次回の作付けでさらに良いものを育てるための具体的な指標とすることこそが、コンテストに参加する真の意義だと私たちは考えています。

今回、2022年1月に分析していただいた人参の結果を真摯に受け止め、次なる作付けに向けて、より一層の改善を図っていきたいと考えています。

震災からの復興:希望の畑で育つ人参の可能性

今回、栄養価コンテストに出品した人参が育った畑は、私たちにとって特別な意味を持つ場所です。
この畑は、2018年に造成工事が行われました。実は、震災の前までは、私が住んでいた家を含む3軒の集落があった場所なのです。

2017年から始まった国の復興工事によって、集落の瓦礫は撤去され、代わりにどこかの山の土が2メートル以上も盛られて、新たな畑として生まれ変わりました。
造成工事が終わったばかりの頃は、正直、土壌の状態も不安定で、何を植えてもなかなか上手く育たず、失敗の連続でした。
それでも諦めずに試行錯誤を繰り返し、土作りに励んだ結果、工事完了から4年目にして、ようやく人参を収穫できるまでになったのです。

まだ土作りを始めてから4年しか経っていないこの畑には、無限の可能性が秘められていると感じています。
これから土作りを続けていくことで、土壌はさらに豊かになり、そこで育つ野菜たちも、きっとどんどん良い方向へ進化していくと信じています。

私たちの師匠も常々、「きちんと土作りを続けていけば、土は生き物のようにどんどん進化する。そうすると、そこで採れる野菜も、驚くほど味が進化していくぞ!」と教えてくれます。
その言葉を胸に、今後の土作りが本当に楽しみで仕方ありません。この復興の地で育つ人参が、皆様の食卓に笑顔と健康を届けられるよう、私たちはこれからも情熱を注いでまいります。

いよいよ結果発表!驚きの抗酸化力

さて、皆様お待ちかねの分析結果を発表したいと思います!ドキドキしながら結果を見たのですが、本当に驚きの数値が出ました。

分析結果は以下の通りです。

  • Brix糖度: 8.7
  • 抗酸化力: 22.6 ⇒平均値の3倍以上!
  • ビタミンC: 6.3
  • 硝酸イオン: 23.9
  • 食味評価: 味のバランスが良い

この結果を見て、まず目を引いたのは、抗酸化力の高さです!
平均値の3倍以上という数値は、私たちも予想を遥かに超えるものでした。
抗酸化力とは、私たちの体を酸化ストレスから守り、老化や様々な病気の予防に役立つとされる成分の力です。

糖度やビタミンCは平均値と同程度でしたが、決して低いわけではありません。そして、食味評価では「味のバランスが良い」という評価をいただけたことは、非常に嬉しく思っています。
今回の結果は、私たちが栽培している人参の品種特性が如実に表れたものだと感じています。
今回コンテストに出品した人参の品種は「クリスティーヌ」という品種でした。この品種は、主に加工(ジュースなど)向けに開発されたもので、とにかく肌艶が良く、大きく育つのが特徴です。
その反面、他の品種に比べて糖度が上がりにくいという性質を持っています(どの時期に育てても糖度は8〜10%でほぼ一定)。味も、加工向きということもあり、スッキリとした甘さがスーッと抜けていくような印象です。

今回の分析結果で、この「クリスティーヌ」という品種の特性が改めて明確になりました。

次なる挑戦:さらなる品質向上を目指して

今回のコンテストを通じて、私たちの人参の強みと、今後の改善点が見えてきました。
特に、高い抗酸化力を持つ一方で、糖度やビタミンCの数値にはまだ改善の余地があることが分かりました。

次回の作付けでは、この分析結果を踏まえ、糖度やビタミンCの値をさらに向上させるための工夫を積極的に取り入れていきたいと考えています。
具体的には、土壌改良の方法や肥料の与え方、栽培時期などを改めて検討し、より甘く、より栄養価の高い人参を目指します。

また、私たちは「クリスティーヌ」以外にも、様々な品種の人参を育てています。それぞれの品種には、味や食感、栄養価など、異なる特徴があります。
今後は、これらの他の品種もコンテストに出品し、それぞれの分析結果や食味にどのような違いが出るのかを比較してみるのも面白いと考えています。

異なる品種の特性を客観的なデータとして把握することで、それぞれの品種に最適な栽培方法を見つけ出し、より高品質な人参をお客様にお届けできるようになるはずです。
今回の栄養価コンテストへの挑戦は、私たちMITUにとって、自分たちの農業を見つめ直し、未来に向けてさらに成長するための貴重な一歩となりました。
これからも、土と真摯に向き合い、美味しいだけでなく、皆様の健康にも貢献できるような、そんな人参を育てていきたいと思っています。

今後とも、MITUの挑戦にご期待ください!そして、私たちの愛情がたっぷり詰まった人参を、ぜひ一度ご賞味いただけたら嬉しいです。

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