人参を栄養価コンテストで分析してもらった話

久しぶりのブログ更新です。
今回は当園で育てている人参を栄養価コンテスト2022に出して分析してもらった話をします。
客観的に見て、どんな値が出たのか、今後の課題とは?というのも含めて綴っていきます。

栄養価コンテストとは?

栄養価コンテストとは、一般社団法人日本農業普及協会が毎年行っているコンテストです。
コンテストの趣旨としては、栽培方法と栄養価の因果関係を探求し、日本の農産物の栄養価を底上げしようというもののようです。

詳細は、一般社団法人日本農業普及協会のHP(http://www.jofa.or.jp/)を御覧ください。

コンテストでは、Brix糖度、抗酸化力、ビタミンC、硝酸イオン、食味評価の5項目を測定。
野菜の健康診断スコアなるグラフで平均値と比較し、自身の農産物がどのような状態なのか?を把握します。

コンテストに応募した目的

MITUがコンテストに応募した目的は、私たちが育てている農産物を客観的なデータで見る、というものでした。
農業をしている中で、野菜が健康に育つようにサポートすることに注力を注いでいますが、それが農産物の中身に反映されているのかどうかを知りたかったんです。

コンテストというと他の生産者さんとの優劣の差を決めるというようなイメージを持つかも知れないんですが、他の生産者さんとの比較は正直どうでもいいんです。育てる品種も土も周りの環境も使う堆肥や肥料もそれぞれの生産者で異なるので、そこで比較して優劣を決めても意味がないと。
それよりも自分自身の農作物の客観的な数字と向き合い、次作でさらによいものを育てるための指標にすることが大事だと思うんです。

なので、2022年1月の分析結果を基に、次の作付けでもっと良いものを育てるためにはどんなことをしたらいいのかを考えていきます。

可能性が広がる

2022年1月に応募した野菜は人参でした。
人参を育てた畑は2018年に造成工事が行われた畑。
震災の前までは私が住む家含む3件の集落があった場所でした。
2017年から国の復興工事として集落のあった場所の瓦礫を撤去し、どこかの山の土を2メートル以上盛土して畑ができました。

造成工事が終わったばかりの頃から試行錯誤して土作りをしてきましたが、野菜が上手く育たず失敗の連続。
工事完了から4年目でようやく人参が収穫できるようになりました。

まだ土作りを始めて4年しか経っていない畑。
これから土作りを続けていく毎に野菜もどんどんいい方向にいく!と考えています。
可能性が広がっているように感じるんです。
師匠がきちんと土作りをし続けていけば、土はどんどん進化する。
そうすると、そこで採れる野菜もどんどん味が進化していくぞ!と言っていました。

そう考えると土作りが楽しみで仕方がないです。

肝心の分析結果は?

分析結果はこちらです。
糖度やビタミンCは平均と同じくらいでしたが、抗酸化力は平均の3倍以上でした。
食味では味のバランスが良かったようです。

これは品種特性が如実に出たかな、と感じています。
今回コンテストに出した人参の品種は「クリスティーヌ」という品種でした。
加工(ジュース)向きで、とにかく肌艶がよく大きいものが採れる品種。
その反面、他の品種に比べて糖度が上がりにくいんです(どの時期に育てても糖度は8〜10%でほぼ一定)。
味も加工向きということでスッキリした甘さがすっと抜けていく感じでした。

次育てる場合は、もっと糖度やビタミンCの値が挙げられるよう工夫したいと考えています。
あとは、品種によってもそれぞれ特徴が違うので、うちで育てている他の品種も出して、分析結果や食味に差が出るかを見比べてみようかと思います。

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