畑から元気を届ける-MITUの想い

畑から元気を届ける

私たちのモットーです。
私たちが畑から元気をもらってきたから、今度は私たちが畑から元気を届ける番だと思ったのです。 

今回は、何故「畑から元気を届ける」をモットーにしているのか、そのきっかけとなった佐藤の経験談を少しだけお話したいと思います。 

園主と交通事故

 

私は学校を卒業する間際、立て続けに交通事故に遭いました。
1度目は一時停止無視の車が横から突っ込み、2回目は走行中に猛スピードで後ろから追突。 

いずれも事故直後は首の痛みと違和感があるくらいで自力で病院へ行き、「頚椎捻挫」と診断されました。
最初の2週間はその症状が続いていましたが、病院受診時には「もう問題ない」との診断で治療が終了しました。 

しかし、学校を卒業して就職する前後。ずっと立っていると目眩や吐き気、頭痛、手足のしびれが出るようになりました。
横になると症状は軽減し、また起き上がって動いていると症状が出る。そんな状態が続きました。 

あなたメンタル?

体調不良は続けど就職も決まったし「気合い入れて頑張る!」そう自分に言い聞かせながら、私は何日か働きました。
でも、日に日に目眩や吐き気等の症状は悪くなるばかり。
ただでさえ新しく働き始めたという状況で疲れは倍増していました。 

ある日、朝に起き上がろうにもめまいが酷く、起き上がれなくなりました。その日、仕事を休ませてもらい、病院を受診。
診断は「自律神経失調症の疑い」ということで、医師からは仕事を始めたばかりのストレスだと話されました。
初めてメンタルと診断され、途方もなく自分への恥ずかしさ、不甲斐なさ、苛立ちがこみ上げてきました。

薬は、睡眠薬と精神安定剤を処方されました。
きちんと直さなければ!と思い、真面目に薬を飲みました。  

しかし、症状は改善されることはなく、逆に精神的にどんどん追い込まれていきました。 

社会からの孤立

病院へ通い始め数ヶ月が過ぎた頃、頭痛や吐き気などの症状がさらに悪化し、食事もまともに取れない状況になりました。
食事が食べれなくなると、眠りは浅くなり、気分がふさぎ込むようになりました。そして、出勤できなくなり、そのまま退社。
そのときにはあまりにも落ち込み、死のうとさえ思うこともありました。

毎日、「何のために生きているのか」を自問自答し、家に引きこもるようになりました。

この頃には自律神経失調症だけではなく、「うつ病」「(重度の)対人恐怖症」とも診断され、自分を責め続けました。

自然との出会い

自分を責め続けては落ち込み、何かしようとしても起き上がると30分くらいでひどい頭痛と吐き気、めまいが出るので一日の大半を寝て過ごす日々。もちろん、ずっと寝ているので夜寝れないしお腹も空きません。
睡眠剤は最初飲んでいましたが、飲んで寝た次の日のコンディションが最悪だったので、服用もやめました。

ずっと寝て過ごしていると運動不足でストレスがどんどん溜まってきました。
そこで、頭痛や吐き気の症状がひどくならない程度に散歩を始めたんです。
就職してからは街なかに住んでいましたが、元々は田舎の出身。

近所の川や田畑を見ながら散歩していると、ふさぎ込んでいた気持ちも和らぎました。
身体を少しでも動かすとお腹は空いてくるし、疲れて眠くなる。
そんな生活をしばらく送っていると、いつからか「畑でもやってみようかな」と思い始めました。 

母方の実家の祖父母が専業農家で小さい頃から稲刈りや畑の手伝いをしていたときの記憶が蘇ったんです。 

 

それから一週間に1度、実家に帰り家庭菜園を始めました。
本当に小さな菜園。両親や祖父母、周りの人に聴いたり、本を読んで野菜を。

自然のチカラ

心の変化

家庭菜園をするようになってから、まず変化が見られたのは「気持ち」の部分でした。
それまでは、メンタルの病気と言われつつも治療しても良くならない自分を恥、気持ちもふさぎ込んでいました。
しかし、自然に触れていると「そんなこと、どうでもいい」というくらいの気持ちになってきたんです。 

野菜を育てていると、土を耕し、種を撒き、その種から芽が出てくる。
それがどんどん大きくなり、きれいな花を咲かせ、そして実をつけ、枯れていく。
その間に、雨が降らない日が続くこともあれば、雨ばかりの日もある。
風が強い日もあれば、曇ばかりの日もある。

そんな過酷な環境のなかでたくましく育っている姿を見たり、周りを見渡すとその植物だけではなく他の植物も虫も鳥もタヌキやキツネも自然の循環の中で生きている。
それに気づいたとき、己しか見ていなかった自分がちっぽけに見えました。

自然が教えてくれたこと。

これが自分が自分らしく生きようとするきっかけになりました。

身体の変化

家庭菜園をきっかけに、私は農業に夢中になり始めました。
自分の症状と相談しながら、それでも夢中でクワを使って土を耕し、鎌で草を刈り、野菜が実ればその場でかじって食べていました。 

畑を夢中でしていると身体をずっと動かしているのでお腹が空くので、お腹いっぱいご飯を食べる。 
ごはんを食べると眠くなるので、お風呂に入ってすぐに寝る。
朝は日の出とともに自然と起きる。
いつの間にか規則正しい生活になっていました。 

そんな生活をしていると、一時期50kgもなかった体重は少しずつ増え、少し動くと息切れするほど低下していた体力も上がってきました。

頭痛や目眩の症状は相変わらずですが、体力・筋力が上がってきたことで日中動ける時間も長くなってきたんです。

新たな一歩

家庭菜園を始めたことがきっかけで、心身ともに調子が良くなり、さらにそこから人との出会いや交流の場も広がりました。 

農作業をしていると「おー何植えてんだ?」と声をかけてくる地元の人。
「今日も天気がいいねー」と会話しながら、いつの間にか一緒に畑仕事を手伝ってくれている人。
「面白そうだから友だち連れて、畑に遊びに行くわ!」と畑に遊びに来てくれる友人たち。

畑を通して交流が生まれました。
どんどん交流の輪が広がるにつれ、自分の中でまた変化が起きました。
「なんだか一歩踏み出せる気がする」と思い始めたのです。 

体力も大方戻り、精神的な落ち込みも回復したタイミングで就職活動を始めました。
同時に、交通事故後ずっと続いている頭痛や吐き気などの原因を調べてくれる病院を探しました。

諦めずに探し続け、ようやくみつけた病院できちんとした診断と治療を受けることができ、悩み続けていた症状もほぼ改善することができました。症状が改善したことで、就職し、働くこともできるようになりました。 

畑から元気をもらう

私が畑を通して元気になれたのには、次のようなことが要因になったと思います。 

 

①自然のセラピー効果 

自然に触れることで、外界からの刺激(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)が刺激されます。
その刺激によって、ホルモンバランスが取れたり、ストレスを軽減したり、心理的な緊張をほぐしたり、免疫力が向上すると言われています(園芸セラピーや自然セラピーと言われている)。

②生活習慣の変化

明るい時間帯に農作業ですこぶる身体を動かして、お腹が空いたらご飯を食べ、眠くなったら寝る。
当たり前のように見える生活習慣ですが、この当たり前がそれまでは出来ていませんでした。
生活習慣が整うようになってからは(農作業していたこともありますが)体力も体重も向上して、風邪などの病気にもかかりにくく、「すこぶる元気だな」と周りから言われるくらいになりました。 

③人との交流

畑をやる前までは自分自身の病気が原因で社会から孤立していました。
孤立していた頃は、どこか人と接するのが恥ずかしかったし億劫だったし、怖さみたいな感情もありました。
それが畑を通して人と交流するようになったことで、一歩前へ踏み出せる勇気をもらえましたし、自分自身よく笑うようになりました。

前向きになれたのです。

畑から元気を届ける

私は交通事故がきっかけでどん底に落ちました。
しかし、畑と出会ったことで畑から元気をもらいました。 

もしかすると、私と同じような悩みを抱えている人がいるかもしれない。

よし、今度は私たちが畑から元気を届けよう!

そう思ったのです。
これが「畑から元気を届ける」という私たちのコンセプトになっています。

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