農業法人はやめたほうがいい?
数年前、震災直後だったでしょうか。
被災地沿岸は、高齢化と離農を理由に地域で農業法人の設立を勧める動きがありました。
地域の組合やグループは組織化。
営農組合や家族経営の法人化が進みました。
しかし、3年ほど経過した頃でしょうか。
法人は辞めたほうが良いという流れも強まってきました。
助成金や補助金頼みの法人経営、規模を拡大しても薄利多売で経営が安定せず、
雇用しようにも応募する人さえ少ない現状などなど。
あまり良くない面が取り上げられました。
「農業法人?なんでそんなことするの?辞めたほうが良いんじゃない?」と
私たちが法人を立ち上げるときにも言われました。
今でもよく言われますけど、、、(苦笑)
でも、法人化しようか個人事業であろうが各々が目指すものに向かう手段と考えるなら、
どちらも同じだと考えています。
何故、農業法人は辞めたほうが良いとなったのか?
理由はそれぞれあろうかと思います。
私たちが営農している地域で言えば、
①震災後立ち上げた法人の経営がうまく行かずに倒産したり、苦しい経営を強いられていること、
②法人にすると補助金を活用しやすく、補助金=悪というイメージが先行していたこと
があげられるのではないかと考えています。
実際に地元の有志が震災後に立ち上げた農業法人は創業2年で倒産。
行政の補助金を活用し、震災復興を掲げてのスタートでしたが、
栽培技術の面や販路確保等で課題が多く、周囲からの印象を悪くしてしまったことは
大きく影響しています。
正直に言えば、「行政が進めてきたから」とか「◯◯(大手企業)が面倒見てくれるから」とか
誰かがなんとかしてくれる、といった他人任せがこの事態を招いてしまったことも一つの要因で
あろうと個人的に考えています。
いずれにしても、経営がうまくいっていないケースが多く、農業法人は辞めたほうが良いと
なったのだと思います。
何故、その中で法人化したのか?
周りからもお客さんからも聴かれることだったので、ここで改めて整理していきたいと思います。
何故、MITUを会社にしたのか?
理由は、ソーシャルファームを作っていくため。
これに尽きます。
元々、私(佐藤)は病院や施設で働いていた中で障がい者の方の生きがい作りの場や就労の場を
農業を通して作りたかった、というのが根底にあります。
就労の場を作るには、法人化が必要でした。
法人としてきちんとした経営を行うことで働いている障がいのある方にきちんとお給料を払う。
また、障がいのある方の雇用を増やすためには、取引先を増やす必要があり、個人対法人ではなく、
法人対法人での関係を構築することが必要だった。
個人事業をしていたときに、市内のNPOさんとやり取りをしている中でも痛感しました。
そして、理由はもう1つあります。
自分と同じ新規就農する人の一助になればいいと思ったからです。
自分が就農して一番大変だったのは、栽培をしながら営業活動をし、さらに出荷するために配達することでした。
限られた時間と資金の中で全てを一人でこなすのは、本当に大変でした。
もちろん、農協さんに出荷する形もありましたが、私たちは直接販売していくことを考えていました。
なので、毎日寝る間も惜しんで、、、という状況だったのです。
そのときに、仲間がいれば、と何度も思いました(笑)
なので、私たちが法人化して、周りの新規就農した人の農産物を集めて出荷したり、役割分担を決めて作業することで
1人で出来ないことを出来るようにしたり、法人やグループしか取引できないところに営業しに行って販路開拓したり。
地域に法人があれば、うまくみんなで経営を安定させられる方向に進むことが出来るのではないかと考えたのです。
農業も栽培方法や経営方法などで多様化が進んできた中で、「選択肢」の1つになれればよいというくらいに考えています。
まだまだ課題は山盛りなんですけどもね(笑)
これから仲間と少しずつ作り上げていきたいなと考えています。
法人=規模拡大?
農業法人にすると、大概「これからどんどん圃場を大きくしていくんだね?!」と聴かれます。
おそらく通常の流れであれば、しばらくは農地が法人に集約されやすい傾向が続くと思います。
でも、MITUでは圃場拡大は一定の面積までしか考えていません。
仙台沿岸でのソーシャルファーム作りと自分たちが思い描いているベクトルから言うと、
2〜3ヘクタールが限度。
法人だから規模拡大=利益拡大となりがちですが、別の視点から切り込んでいくのも一つなのではないかと
思います。
MITUがどんな方向を目指しているのか?
それは、来るべきときにご報告(笑)
ということで、私たちは私たちの考えあって法人を立ち上げました。
これから農業を目指す方には、どんな経営を目指していくのか、どんな志や想いがあって就農するのか、
その想いなどを実現させるにはどうベクトルを定めていくのかをじっくり考えながら就農することを
おすすめします。