農業と福祉の話その1ー交流の場を目指して

当園が目指していること

農業を通して、私たちがしたいこと。 

それは、障害のあるないに関わらず、若い・高齢に関わらず、一人一人が農業を通して、自分を変えるきっかけや交流できる場を作ること。 

これは、園主佐藤のこれまでの自身の経験や見てきたことに端を発しています。 

高次脳機能障害と現実

あなたは、高次脳機能障害という名前を聴いたことがあるでしょうか? 

高次脳機能障害とは、脳や神経の病気や損傷などで言語視覚記憶思考など「高次」の機能が障害を被ることを言います。 

例えば、
「話す」「聞く」「読む」「書く」といった行為になんらかの障害がでる「失語症」という障害 
物事を覚えることができなくなったり、昔のことを思い出せなくなる「記憶障害」という障害
などのことを言います。 

高次脳機能障害は、脳のどこが損傷したかによって症状の現れ方が異なります。 

私が言語聴覚士として働いていたときには、高次脳機能障害のある方のリハビリをさせていただくこともありました。 

その中で、
高次脳機能障害のある方の中には、周囲からの理解が得られにくく、孤立しがち。
自身は復職を希望しているが、企業で働けるところがなく、ずっと家に。
病院退院後、どこにも行けず引きこもり。
といった方がいました。 

高次脳機能障害は、見た目には手足の麻痺がなかったり軽度であったりすることも多く、実際に会話をしたり接することで「ん?何かおかしいぞ」と相手に思われることもあります。 
今はテレビで時折、高次脳機能障害について取り上げられることもありますが、私が現役のときにはまだまだ周囲の理解が少なく、「どうしたらいいかわからない」という人が多い状況でした。 

まずは外に出て、交流

私がそんな現状を知ったとき、「何ができるだろう」と考えました。 

でも、考えても考えても大それたことはできないし、良い案も浮かばない、、、。 

考えてもダメなら、まず行動してみようと思い、2016年は試験的にとあるイベントを行いました。
仙台市内の高次脳機能障害のある方々の就労支援を行っているNPOと連携して、障がいのある方も一般の方もごちゃまぜにして、ジャガイモの植え付け〜収穫体験、食事会を行うイベントです。  

普段、あまり施設以外の人とは関わらないという障害のある方と一般の方が一緒に農作業をすれば、「何か」かわるきっかけになるかもしれないと思ったからです。 
連携先のNPOさんは、普段、定期的に当園に作業を手伝いに来てくれているNPOさんでした。

一緒に作業して見えてくること

ジャガイモの植え付けや収穫は、高次脳機能障害の状態やその人の性格などを考慮し、チーム編成して行いました。
実際に開催してみると、障害のある方と一般の方が密にコミュニケーションを取るようなことはありませんでしたが、普段とは違ったことが見えてきました。 

Aさんは、いつもは5分くらい作業をすると集中力が切れてしまうのですが、このときには30分近くも作業に夢中に。
Bさんは、言語障害があり流暢に話すことが難しく、普段あまり言葉を発さないのですが、このときには積極的に言葉を発するように。 
Cさんは、普段話が止まらず作業に集中できないことが多いのですが、このときには始めて作業する人に作業手順を伝えながら自分も積極的に作業するように。 

と、それぞれみなさんが普段とは違った行動を取っていました。
会終了後も一人ひとり以前とは違った雰囲気で作業をするようになり、支援員の方も私も驚くほどでした。 

障害者雇用促進の前に

非常に残念ながら、企業での障害者雇用はなかなか進まない現状があります。
最下位からは脱しましたが宮城県は一時期、民間企業での障害者の実雇用率が全国最下位でした。 
(宮城県の障害者雇用率に関して記載されているHPはこちら⇒https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/1/120/123/shougai.html

また、官公庁での障害者雇用率が実際の数値とは違い、かなり低かったことが問題として取り上げられたこともありました。

何故、障害者の雇用は進まないのでしょうか? 

私なりに調べ、見聞きし、出会ってきた方々との会話から導いた1つの答えは、、、、相互理解が足りないことでした。 

民間企業は障害について知らないことが多いため、障害のある方とどう接すればいいかわからない、という声が多い。
障害者側(支援側)は何かあってからでは困る、という「守る」想いが強く感じます。 

守るというのは、支援する側が手厚く支援することで就労に結びつきにくい現状であったり、障害者のために!という主張が強すぎて周りが見えていなかったり。 
そのことで周りと壁ができてしまい、孤立してしまっているように見えました。 

お互いが理解を深めれば、企業での障害者雇用は広まるかもしれませんし、障がいのある人たちも就労に向けた具体的な活動ができるかもしれません。 

私たちは本当に些細なことですが、農業イベントを通して、お互いが理解するきっかけを作っていきたいと考えています。
積極的な交流はできないかもしれません、でも、同じ場所で同じ作業をしているだけでも見えてくることはあると思います。 

できることから少しずつ、が私のモットー。 

障害者雇用の前に、まずはお互い知ることから。
共通の体験をしながら、交流してみませんか?

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