農福連携の難しさ-その1:福祉施設との関係にて

農福連携という取り組み、ご存知ですか?
農福連携とは文字通り農業分野と福祉分野が連携することです。
主に障害者就労支援施設等に通う方が農家や農業法人に出向き、そこで作業をすることで就労の機会や雇用を生む形が多いでしょうか。 

この農福連携、興味を持っている農家さんや農業法人さんも周りにいますが、取り組みへの難しさから実際に連携することに躊躇する方も少なくありません。 

今回のブログでは、MITUで実際に農福連携をしていて感じる福祉施設との関係性の難しさや解決に向けた方法をご紹介したいと思います。
このブログを通して、これから農福連携に取り組んでいこうという方、まだ取り組み始めたばかりで悩みを抱えている方の参考になればと思います。

MITUでの農福連携

MITUでは宮城県仙台市と大崎市に圃場があり、それぞれで農福連携や障がいのある方の作業受け入れを行っています。
2020年春の時点で、仙台の圃場では毎週、週1回4名程度の方が来ています。
大崎の方は冬の間は寒くて作業も少ないので暖かい時期にその都度作業をお願いしている形です。

今回は仙台での話を中心にしていこうと思います。
仙台での農福連携では、B型就労支援施設の方(以下、「メンバー」と書きます)に来てもらい、主に堆肥撒き、イモ類の植え付け、除草、収穫作業、片付け作業などを中心に行ってもらっています。
通年で何かしらの作業をしてもらいっている感じです。

 

どんなところが難しい?

MITUでは農福連携に取り組み始めてから約6年、今の施設さんとの連携は今年で4年目に突入します。
この取組始めてからの期間を振り返ってみても、農福連携の難しさを感じる場面がいくつかありました。
どんな場面で難しさを感じたのか、解決方法も含め主だったところを取り上げていきます。

できる作業の見極めとどうしても作業ができないときいの対応

実際に農福連携で施設からメンバーを受け入れる際に、どんな作業ができるだろうと悩むこともあろうかと思います。 
また、施設側から「通年で来たい」という要望があることもあるかもしれません。

MITUでは仙台圃場のほうで通年、メンバーに来てもらっていますが、どうしても作業に向き不向きがあるのが現状です。
また、そのときのメンバーの心身状態でも作業のクオリティーに違いが出ることもあります。

例えば、実際に先日起きた出来事なのですが、以前に行ってもらった堆肥撒きではキレイに撒けていたのに、今回は全然上手く撒けずにMITUメンバーでやり直しをする、といったような感じです。 

堆肥撒きって「ただ撒くだけじゃん」と思うかもしれませんが、農作物をきちんと育てるためには堆肥を均一に撒く必要があるので、結構神経使うんです。
この堆肥撒きの件は、こちらでどうこれから対応していこうか悩みました。

ちょうどその時期は堆肥撒きが畑の主な作業で他にお願いする作業もなく、来てもらっても作業がないし、無理くり何かをやったとしてもお互いメリットが少ないという状況でした。
このときにいくつか解決方法を考え、施設のスタッフさんとも話し合いをしました。

その解決ですが、

「無理に作業をせず、メンバーができる他の作業が出てくるまで休みにする」でした。

農福連携は農業分野で就労の機会や雇用を生む、とキレイにも聞こえますが、視点を変えれば「作業をすることでその対価(お金)を得ること」でもあります。
受け入れる側(MITU)も作業に来る側(施設)もココは少しシビアに見ています。

「ただ畑に来たからお金ちょうだい」とか「ボランティア精神で」という感じでは関係は長くは続かないと思っているので。

受け入れる側はメンバーができる作業を考えたり、創ります。
普段、自分たちが行っている一連の作業を分解してみて、「ここはメンバーさんができるかも」と考えたり、新しく○○を取り入れてメンバーさんと一緒に取り組んでみようと作業を創ってみたり。

一方、(きちんとした)施設さんは、作業の対価としてメンバーが受け取るお金に見合った作業ができるのか、難しいとすれば見合うようにどう工夫すればいいのか、といったことを必死で考えてくれています。
それでもどうしても折り合いがつかない場合は、話し合って「休み」にするのも1つの方法かなと考えています。
少なくともMITUではいま来ている施設さんとは末永く取り組んでいきたいので、お互いじっくり話し合いをして決めるようにしています。

このケースでは、最終的にはこちらで作業できることを見つけることができたので、「休み」にはせず、普通に作業をしてもらいました。

一方的な条件提示

これは別のブログでも取り上げたことがあります。
今関わっている施設さんではないのですが、「農福連携でMITUに来たい」という施設さんの中には一方的な条件提示をしてくるところが少なからずあります。

非常に残念なことです。

どんな作業ができるか、どのくらいの作業クオリティなのか、どんな個性があるのかなどなど、何もわからずに「仕事がなくて困っています。うちではこれくらいのお給料(工賃)で働いているので、これくらいください」ととにかく一方的なんです。 
ひどいところでは、なにか責任が発生した場合は全てMITUの責任、給料や来園日も一方的に提示、スタッフさんが農業のこと何もわからずこちらがイチから全て指導する、という事例がありました。

元々、農業の分野で障がいなどの悩みを抱えている人の支援をしたいと飛び込んだ私ですが、さすがにこういった施設さんとは関わらないようにしています。

もし話し合いで解決できない場合は、無理にこういった施設とは農福連携に取り組まなくてもいいのではないかな、というのが正直な意見です。
歩み寄りができない場合は丁重にお断りしましょう。
どちらかが無理をし続けでは、長続きしないので。

農福連携の難しさ

農福連携という言葉を耳にすることが増え、興味を持つ農家さんや農業法人、施設さんも増えてきたと思います。
農業の分野で障がいのある方やいろんな悩みを抱えている方が就労する・働く機会が増えることはすごく嬉しいことですし、農業がきっかけで悩みを抱えている人たちが元気になったり社会へ踏み出す一歩になればいいなあと常に考えています。

ただ農家や農業法人はボランティアでメンバーさんを受け入れるのではありません。
農業を通して生きがいや就労の場を作る目的以外にも作業をしてもらった対価としてお金をお支払いします。
このお金は、自分たちが愛情込めて育てた農作物を買ってくれたお客さんからいただいた大切なものです。
このお客さんから頂いたお金で、またお客さんに美味しい農作物を届けられるように栽培に全力投球します。

この重み、伝わるでしょうか?
「金、金、言ってるんじゃないよ」と思う人もいるかもしれません。
お金そのもの、というよりも、私たちもお客さんからの想いとか信用とかそういったもので農作物を買ってもらって、「次も良い作物よろしく」という気持ちを込めてお金をいただくんです。
そこにはお客さんからの想いとか願いとか(自分たちなりの)責任があるわけです。

福祉の制度や法律が変わって経営が大変、障がいのある人達の仕事がなくて困っている。
その現状もわかります。是が非でも「施設外就労」という形でお金を得たい、という気持ちが伝わってくる人もいます。

でも、障がいのある人たちと農家や農業法人で一緒に働くことでその先にいるお客さんのことを考えることも大切なんじゃないかなと考えています。

農福連携を広め、さらに継続した取り組みにしていくために、まずは農家・農業法人と就労支援施設等の間でじっくり話し合いを重ね、歩み寄りをしてみませんか?

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