農園MITUの佐藤です。最近、「MITUの野菜、どこで買えますか?」とか「市場には出さないのですか?」と聞かれることが増えました。
今日は、この話題について掘り下げてみたいと思います。
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なぜ市場に出荷しないのか?
「なぜ市場に出さないのですか?」という質問をよく受けます。
その理由は、私たちには直接お客様に野菜を届けたいという強い想いがあるからです。
市場に出荷すると、自分たちの野菜がどこに届けられるのか、どんなお客様が買うのかが見えにくくなります。
そうなると、正直なところ、野菜を育てる際の「気合」が入りにくいんです(笑)。
それ以外にも理由があります。市場の主な機能は、農産物の安定供給、販路の提供、そして取引の場の提供です。
かつては、市場を通じて農家がきちんとした利益を得られる価格で取引されていたと言われています。
しかし、近年では、必ずしもそうとは言えない状況になっていると考えられます。
例えば、近年、暖冬などの影響で玉ねぎの価格が大きく下落しています。先日、Facebookで報告されていた内容では、20kgで300円という価格だったそうです。
昨年も同じくらいの値段だったと聞きました。これは1キロ15円という計算になり、種代にもならないのではないかと思います。(少なくともMITUでは種代にもなりません。)
市場の機能は、日本の食卓を守る上では不可欠なものですが、私たちのような小規模農家にとっては、あまりメリットを感じられないのが現状です。
大規模な面積で機械化を進め、大量生産している農家にとっては、市場への出荷も一つの有効な方法だと思います。
MITUでは、手の届く範囲のお客様に野菜を届けるために、市場への出荷ではなく、他の販売方法を模索し、取り組んでいます。
市場出荷のメリット・デメリット
メリット:
- 安定した販路: 大量の農産物を安定的に出荷できるため、販路の確保が容易です。
- 取引の効率化: 市場が取引の場を提供するため、個別の販売交渉の手間が省けます。
- 価格形成の透明性: 競りなどの仕組みにより、ある程度の価格形成の透明性が確保されます。
デメリット:
- 価格変動のリスク: 天候や需給バランスによって価格が大きく変動する可能性があります。
- 生産者と消費者の距離: 誰が作った野菜を誰が買うのかが見えにくく、消費者のニーズを把握しにくい場合があります。
- 手数料: 市場への出荷には、手数料がかかります。
直接販売のメリット・デメリット
メリット:
- 消費者との繋がり: 直接消費者の声を聞き、ニーズに合わせた野菜作りができます。
- 価格決定の自由度: 自分たちで価格を設定できるため、適正な利益を確保しやすいです。
- 顔の見える関係: 消費者との信頼関係を築きやすく、リピーターに繋がりやすいです。
デメリット:
- 販路開拓の労力: 自分たちで販路を開拓する必要があるため、労力と時間がかかります。
- 販売量の限界: 大量販売には向かないため、販路が限られる場合があります。
- 価格競争: 他の農家や小売店との価格競争にさらされる可能性があります。
関係ありきの農業へ
新型コロナウイルス感染症の流行、近年の世界的な異常気象、そして国内の農業従事者の減少など、様々な要因が重なり、今後、世界的に不安定な食料供給と国産農産物の生産減少が進むのではないかと考えています。
そのため、これからはより一層、「関係」を重視した農業や地産地消に焦点が当てられていくのではないでしょうか。
MITUでは、直売以外にも、いくつかの企業様とお取引させていただいており、それぞれの理念や想いを共有したり、密に情報交換をしながら取引を行っています。
直接お客様の声を聞く機会は少なくとも、取引先様からお客様の声を聞いたり、お客様が求めているものを教えてもらったりすることで、「よし、野菜作りを一層頑張ろう!」という気持ちになります。
直売でも、いつも野菜を買いに来てくれるお客様や知り合いの顔や声を思い浮かべながら、「○○さんは、人参臭い人参が食べたいって言っていたなあ」とか「□□さんは、白ナスがほしいって言っていたなあ」とか、そんなことを考えながら育てています。
お客様から見て「顔の見える生産者が良い」と仰る方がいますが、農家側から見ても同じで、「食べてくれる人・使ってくれる人がわかる」からこそ、より一層栽培に力が入るんです(少なくともMITUでは)。
MITUでは、これからも地産地消や関係ありきの農業を突き進んでいきます。