皆様、ご無沙汰しております!しばらくぶりのブログ更新となりました。
この数ヶ月、私たちは文字通り、土と汗にまみれる日々を送っていました。
畑に張り付き、日が暮れては眠るだけの生活を送るかと思えば、一転して事務作業に没頭する引きこもり生活を送ったりと、ジェットコースターのような毎日です。
今回は、そんな変化に富んだ農園の近況を、皆様にお届けしたいと思います。
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試練の夏を乗り越えて
今年の夏は、本当に厳しいものでした。全国各地の農家の皆様も同じような経験をされたことと思いますが、ここ仙台沿岸部も例外ではありません。
6月から容赦ない暑さが続き、7月後半から9月上旬にかけてはほとんど雨が降らず、畑はまるで乾いた砂漠のようになってしまいました。
普段から暑さには慣れているつもりでしたが、今年の暑さは格別でした。
朝から照りつける強烈な日差しの中での作業は、体力を容赦なく奪っていきます。
特に、農福連携で一緒に働くスタッフや研修生の皆さんは、時間的な制約がある中で作業に来てくれるため、最も暑い時間帯に3〜4時間も作業しなければならない日もあり、その姿には頭が下がる思いでした。
彼らがフラフラになりながらも懸命に作業に取り組む姿は、私たちの大きな励みになっています。
このような異常気象が、今後ますます頻繁になるかもしれないと考えると、私たち農家は、将来に向けて様々な対策を講じていかなければならないと強く感じています。
「毎年一年生」の真意
畑の作物の状況も、また厳しいものでした。記録的な猛暑と深刻な水不足は、作物の生育に大きな影響を与え、「今年も存続の危機か…」と何度も頭をよぎりました。
夏の主力である人参は、お盆前に暑さで次々と溶けてしまい、7月に種をまいた人参は枯れ、8月上旬から中旬に播いた種に至っては、ほとんど発芽すらしてくれませんでした。
何度も何度も種を蒔き直しましたが、結果は同じ。
ヤーコンは暑さで全滅し、ナスは蕾が枯れたり、実が水分を失ってフニャフニャになったりと、正直、心が折れそうになる瞬間もありました(笑)。
私たちは、このような状況を自虐的に「毎年一年生だ」と表現することがあります。
それは、農業というものが、毎年同じ条件ではない自然を相手にする仕事だからです。
気候、土壌、病害虫の発生状況など、その年によって全く異なる環境下で、私たちは常に新しい知識や技術を学び、試行錯誤を繰り返さなければなりません。
過去の経験は確かに重要ですが、それがそのまま通用するとは限りません。
毎年が新たな挑戦であり、その都度、私たちはまるで一年生のように、自然の厳しさや作物の繊細さを改めて学び直すのです。
だからこそ、農家は常に謙虚であり続け、変化に対応していく柔軟性を持つことが求められるのだと思います。
失敗を糧に、未来を拓く
今年の夏の異常気象は、特に農園の秋冬野菜に大きなダメージを与えました。
「来年、このままでは資金調達が必要になるかもしれない。でも、本当にできるだろうか…」という不安がないわけではありません。
しかし、私たちは決して悲観していません。
収穫物がほとんどなくなり、時間に余裕ができた今こそ、今年の経験を深く反省し、来年に向けて具体的な対策を練る絶好の機会だと捉えています。
夏の暑さで人参がダメージを受けないようにするためには、どのような工夫ができるのか?
4〜5月以外の時期にも、お客様に安定して人参をお届けするためには、どうすれば良いのか?
今後、猛暑や少雨が続いた場合に、被害を最小限に抑えるためには、どんな対策を講じるべきか?
暑い中でも、農福連携のスタッフや研修生が熱中症にならずに安全に作業できる環境を整えるためには、何が必要か?
万が一、夏の暑さで野菜が全滅してしまった場合に、経営を維持するための代替策はあるのか?
考えるべきことは山ほどあります。
これまでの自分の人生を振り返ると、私はどちらかというと失敗から多くのことを学び、ゆっくりと改善を重ねていくタイプです。
焦らず、一つ一つの課題に真摯に向き合い、来年こそ、もっと多くのお客様に美味しい野菜をお届けできるよう、知恵を絞っていきたいと思っています。
畑は心の鏡
余談になりますが、現場作業が減り、机に向かって仕事をする時間が増えると、なぜか「ちゃんと働けていない」ような感覚に陥ることがあります。
そして、その感覚から、「このままでは来年の営農資金が確保できないかもしれない…」といったネガティブな思考に囚われてしまうこともあります。
そんな時、私は迷わず畑に出て、無心で草刈りをしたり、夏野菜の片付けをしたりします。
土に触れ、体を動かすことで、頭の中のモヤモヤが少しずつ晴れていくのを感じます。
先日、この話を友人にしたら、「それは畑でマインドフルネスをしているんですね!」と言われました。正直なところ、「マインドフルネスって何だろう?」と思ったのは、ここだけの話です(笑)。
それでも、畑で土と向き合っている時間は、私にとって何よりも大切な時間です。
作物の成長を間近で見守り、土の匂いを嗅ぎ、自然の音に耳を傾けていると、日々の不安や焦りが和らぎ、心が穏やかになるのを感じます。
今年の夏は、私たちにとって試練の連続でしたが、その経験を通して、多くの学びと新たな決意を得ることができました。
これからも、大地の恵みに感謝し、自然と向き合いながら、美味しい野菜を皆様にお届けできるよう、精一杯努めてまいります。
今後とも、私たちの農園を温かく見守っていただければ幸いです。