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家庭菜園の土作り:初心者でも失敗しない基本とMITU流のコツ
ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか?
私たちMITUでは、毎年この時期になると夏の野菜たちの準備に大忙しです。
畑を耕し、畝を作り、マルチを張り、種をまいたり苗を育てたりと、夏の収穫を夢見て土と向き合う日々を送っています。
今年は、新型コロナウイルスの影響もあってか、ご自宅で家庭菜園を始める方が増えたように感じます。
実際、MITUにも「家庭菜園でどうやって野菜を育てたら良いの?」というお問い合わせをいただくことが多くなりました。
そこで今回のブログでは、皆さんからのお問い合わせの中でも特に多かった「家庭菜園での土作り」について、MITUがこれまで培ってきた経験を踏まえながら、初心者の方にも分かりやすく解説していきたいと思います。
家庭菜園の土作りの前に
家庭菜園で野菜を育てたい!と思っている方の中には、「化学肥料や化学農薬は使わずに育てたい」という方も多いのではないでしょうか。
安心安全な野菜を自分で育てて食べる喜びは格別ですよね。
しかし、そこで一番の課題となるのが「土作りをどうするか?」ということです。
ホームセンターには様々な土壌改良材や堆肥が並んでいますが、一体どれを選べば良いのか、どのくらいの量を使えば良いのか、迷ってしまう方も少なくないでしょう。
育てる野菜の種類によって、適した土壌環境は異なります。今回のブログでは、「化学農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てるために、最低限これだけはやっておくと良い」という基本的な考え方と、MITUならではのちょっとしたコツをお伝えしていきます。
家庭菜園の土作り:3つのステップ
家庭菜園の土作りは、大きく分けて以下の3つのステップで進めていきます。
ステップ1:どんな野菜を育てたいかを考える
まず最初に、どんな野菜を育てたいのかを具体的にイメージしましょう。トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、枝豆、ハーブ類… 育てたい野菜が決まったら、次にその野菜がどんな土を好むのかを調べてみましょう。
例えば、
- トマト: 水はけの良い、やや乾燥気味の土を好みます。
- ナス: 保水性があり、肥沃な土を好みます。
- キュウリ: 水はけと保水性のバランスが取れた土を好みます。
- 葉物野菜(ホウレンソウ、小松菜など): 比較的どんな土壌でも育ちやすいですが、有機質に富んだ肥沃な土を好みます。
このように、野菜によって好みの土壌条件は様々です。
プランター栽培の場合: 育てたい野菜に合わせて、保水性の高い培養土や水はけの良い培養土など、ベースとなる土を選びましょう。
最近では、野菜の種類ごとに配合された専用の培養土も販売されているので、初心者の方にはそちらを利用するのもおすすめです。
庭先や畑で栽培する場合: 庭や畑の土がどのような状態か(水はけが良いか悪いか、土が硬いかサラサラしているかなど)を観察します。
水はけが悪い場合は、畝を高くすることで改善が見込めます。畝の高さは、育てる野菜の根の深さや好む水分量によって調整しましょう。
一般的には、15〜30cm程度の高さが良いとされています。
土壌改良材や堆肥を入れるタイミングは、野菜の種まきや苗植えの1ヶ月以上前に行うのが理想的です。
これは、土壌改良材や堆肥が土と馴染み、微生物の活動が活発になるための時間が必要だからです。
ステップ2:土壌改良材や堆肥などを入れる
次に、土壌改良材や堆肥を土に混ぜ込んでいきます。ここで多くの方が悩むのが、「何をどれくらい入れたら良いのか?」という点だと思います。
正直なところ、土の栄養分がどのくらい残っているのかは、土壌分析をしないと正確な量をお伝えすることができません。
最近では、ホームセンターなどでも簡易的な土壌分析サービスを提供している場合があります。
もし可能であれば、一度分析してもらうと安心です。難しい場合は、土壌酸度計(pHメーター)を使って土のpHを測ってみるのも良いでしょう。
多くの野菜は、pH6.0〜6.5程度の弱酸性の土壌を好みます。pHが極端に低い(酸性)場合は、苦土石灰などを混ぜて中和する必要があります。
そこまで本格的なことはちょっと…という初心者の方は、ホームセンターなどで販売されている土壌改良材や堆肥の袋の裏側に記載されている使用量の目安を参考にすると良いでしょう。
ただし、堆肥や肥料は与えすぎると、かえって根を傷めたり、虫が発生しやすくなる原因にもなります。心配な場合は、記載されている量の8割程度に抑えておくのも一つの方法です。
では、具体的にどのような土壌改良材や堆肥を選べば良いのでしょうか?もし私がホームセンターで購入するとしたら、以下のものを検討します。
- 腐葉土: 落ち葉などが微生物によって分解されたもので、土壌の物理性を改善し、保水性、排水性、通気性を高めます。有機物を補給する効果もあります。
- 菜種粕などの植物由来の油粕、魚粕: これらはチッソ分を多く含む有機肥料です。葉や茎の成長を促進する効果があります。ただし、未発酵のものはガスを発生させて根を傷めることがあるため、 ভা発酵したものを選びましょう。
- 焼成灰(鶏ふんを炭化させた肥料): リン酸やカリウムを多く含んでいます。リン酸は花や実付きを良くし、カリウムは根を丈夫にする効果があります。鶏ふん堆肥は、未熟なものだと臭いが強い場合があるので、焼成されたものを選ぶと扱いやすいです。
- もみがらくん炭: 籾殻を炭化させたもので、多孔質で通気性、排水性を高めます。また、微生物の住処にもなり、土壌改良効果が期待できます。カリウムや微量要素も少量含んでいます。
- バットグアノ: コウモリの糞が堆積してできたもので、リン酸を豊富に含んでいます。緩効性で、植物の生育をじっくりとサポートします。ミネラル分も豊富です。
- 牡蠣殻石灰: カルシウムを主成分とし、土壌の酸度を調整する効果があります。また、ミネラル分も補給できます。粉末状と粒状がありますが、畑全体に混ぜ込む場合は粉末状、追肥として使う場合は粒状が便利です。
- 馬糞堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥: これらの動物性堆肥は、有機物を豊富に含み、土壌の団粒構造を促進し、保水性、排水性、通気性を改善します。微生物の活動を活発にする効果もあります。牛糞堆肥は比較的穏やかな効き目、豚糞堆肥はやや肥効が高いと言われています。鶏ふん堆肥は、窒素分が多く即効性がありますが、使いすぎると肥料焼けを起こしやすいので注意が必要です。
これらの肥料を、育てたい野菜の種類や土の状態に合わせて組み合わせて使用します。例えば、葉物野菜にはチッソ分の多い油粕を多めに、実もの野菜にはリン酸分の多いバットグアノや焼成灰を意識して加えるといった具合です。
牛糞堆肥や豚糞堆肥を使う場合は、腐葉土と5:5、あるいは7:3くらいの割合で混ぜて使うと、より効果的です。
ステップ3:堆肥や肥料を混ぜ込む
選んだ堆肥や肥料は、畑全体にまんべんなく撒くようにしましょう。
撒き終わったら、スコップやクワを使って土と混ぜ合わせます。三本クワは、土を耕しやすく、初心者にも扱いやすいのでおすすめです。
野菜の種類によって根の張る深さは異なりますが、一般的には深さ20cm程度を目安に、土と堆肥、肥料を馴染ませると良いでしょう。
この作業は、意外と体力が必要ですので、無理のない範囲で行い、足腰を痛めないように注意してくださいね。良い運動になることは間違いなしです!
おわりに
今回のブログでは、家庭菜園の土作りについて、基本的な考え方とMITU流のちょっとしたコツをお伝えしました。
文章で説明することの難しさを改めて感じましたが、それだけ育てる野菜や土の状態によって、必要な土作りは千差万別だということです。
ぜひ、今回ご紹介したステップを参考に、育てたい野菜に合わせて土作りをしてみてください。自分で育てた、とれたての美味しい野菜は、きっと格別ですよ!
余談:仙台での夏野菜の植え付けについて
仙台では、今の時期(4月中旬)に夏野菜の苗を畑に植えて「ダメだった!」というご相談をいただくことがあります。トマトやナスなどの夏野菜は、寒さにあまり強くありません。最低気温が10℃を下回るような日が続くと、苗が傷んでしまったり、生育が悪くなったりする可能性があります。
もし、今の時期に夏野菜の苗を植えるのであれば、しっかりと保温対策を行うようにしてください。ビニールトンネルをかけたり、不織布で覆ったりするなどの工夫が必要です。
一般的には、仙台で夏野菜の苗を植え付けるのに適した時期は、5月下旬以降と言われています。焦らず、適切な時期に植え付けを行うことが、美味しい夏野菜を収穫するための大切なポイントです。