農福連携という形で施設外就労の取り組みをはじめて、かれこれ約7年が経とうとしています。
この7年の間、いくつかの施設さんと仕事をさせていただき、ありがたいことにそのうち1箇所の施設さんとは約4年のお付き合いをしています。
4年もお付き合いをしていると、「当たり前」に感じていることが実はそうでなかったことと未だにお互い試行錯誤していることがあります。
先日、宮城県内で農福連携に取り組んでいる事業所やこれから取り組もうとしている事業者と農業者が集まる座談会があり、そこでMITUの取り組みを話す機会をいただきました。
その座談会で出てきた話題の1つに農福連携での支援員の役割、という話がありました。
このブログでは、あくまでも私個人が感じている(農家側が求めている)支援員の役割について考えていこうと思います。
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支援員とは
就労支援施設では、管理者、サービス管理責任者、生活支援員と職業指導員という役割をもつ方がいます。
このうち、生活支援員と職業指導員が主に利用者の方の直接的な支援をする役割を担っています。
生活支援員と職業指導員はそれぞれ
生活支援員:日常生活の支援を行う
職業指導員:就労に向けた指導や支援、援助を行う
となっています。
農福連携の実際の現場では
農福連携の現場(ここでは施設外就労)では、生活支援員とか職業指導員といった厳密な区分けでの支援ではなく、依頼された仕事をこなしながら利用者の人たちが就労に向けたトレーニングを行ったり実際の現場の感覚を掴む、などといったあたりに重点を置いていると感じています。
農家側としても依頼した仕事をしてもらった対価として工賃や給料を支払うというビジネス的な要素と実際に現場で働いてもらうことで利用者さんそれぞれの目標に向けたステップを踏んでもらうという福祉的な要素も込めて農福連携に取り組んでいます。(少なくともMITUでは)
このビジネスと福祉の狭間でバランスを取るのは、ものすごく難しいところだと個人的には考えています。
ビジネスと福祉の狭間で
ビジネスと福祉の狭間でバランスを取るのが難しいと常々感じているのですが、その中でも特に難しいと感じているのは次の2つです。
- 農家側で依頼した仕事内容に農家がどのくらい介入するか
- 依頼した仕事内容が出来なかった場合の折り合いはどうつけるか
この2つについて少し詳しく取り上げていきたいと思います。
農家側で依頼した仕事内容に農家がどのくらい介入するか
農福連携に際して、工賃に合わせた仕事内容、達成目標というのをうちでは設定しています。この工賃に合わせた仕事内容を考えるのは結構大変で、その時の天候や利用者のモチベーション、体調なども大きく影響するので、予め設定した目標を達成できないということも実際には多くあります。
しかし、一方で工賃や給料をボランティアで支払うというわけにもいきません。
ここのバランスを取るのがものすごく難しいと感じています。
また、「やり方がわからない」という場合には農家側で指導する場面もあるのですが、そこにどのくらい時間を割けるかというのも正直課題ではあります。
特にうちのような零細農家は人手が足りない部分を農福連携でカバーしてもらおうという場合には、作業ができるようになるまで手取り足取り長い時間をかけて指導するという余裕もないのが実情です。
実際には「ここまでは終わらせたいから、やってしまおう」と私も作業に入ったり、支援員さんと相談して利用者の仕事の振り分けを変更したりすることも多々あります。
依頼した仕事内容が出来なかった場合の折り合いはどうつけるか
工賃に合わせた仕事内容、達成目標に到達しなかった場合の折り合いをどうつけるか、ここも常々考えさせられます。
うちとしては、仮に目標に達成しなかったとしても次に繋がればいいというくらいに考えています。
例えば、今回は作業の振り分けが●●だったから、今度は▲▲にしてやってみよう、とか■■のタイミングで××の作業をすれば目標達成できるかもしれない、という感じで。
あとは支援員さんとの協議で◯◯さん今日は仕事のペースが遅かったので工賃△△円にします、という形にして折り合いをつけるようにしています。
ここの目標の設定と支援員への伝え方がものすごく難しい。
中には、「仕事が出来なかったら、クビにしてもらっていいです」とか「いやいやうちは目標がどうであれ決まった工賃払ってもらわないと困る」と言われるケースもありますし、「利用者が働けなかった分、支援員側で」と支援員が作業に没頭してしまうケースもあります。
これはこれで施設の現状や支援員さんの想いがあるので受け止めつつも、「そこを言いたいわけではない」というもどかしさも感じます。
農福連携での農家と支援員の役割
ビジネスと福祉の狭間でどうより良い関係を持ち続けていくか。
その中で農家と支援員の役割について考えました。
農家側としては、
工賃に見合った作業や達成できるであろう目標の設定
農家側から考えるビジネスと福祉のバランス、線引の設定
を考え、支援員と話し合うことが大切だと考えています。
支援員は、
利用者が目標に向けてステップを踏んでいけるように支援する方法を考え、
かつ農家側から依頼を受けた仕事をチームとしてスムーズに終えられる方法を見つけ出していく
というあたりが大切なのではないかと考えています。
決して利用者ができない作業を支援員が必死で行ってカバーする、なんてことは本末転倒だと感じています。
利用者それぞれの行動を観察し仕事を割り振り現場の仕事を遂行し、その先に利用者それぞれが掲げている目標へのステップを踏んでいけるか、ここを農福連携では大切にしていきたいですね。