農業を始めるきっかけ話その3ー障がい者との出会い

MITU園主が農業を始めようと思ったきっかけには大きく3つありました。
そのうちの1つが障害のある方との出会いでした。
このブログでは、園主が言語聴覚士として働いていた際に障がいのある方たちと出会い、そこで障がいのある方やその家族の悩みや現状を聞いていく中で新規就農への道を綴っています。

言語聴覚士として

私は農業をする前はリハビリの仕事をしていました。
言語聴覚士という仕事です。 
脳や神経の病気で言葉や飲み込みに障害を抱えてしまった方へのリハビリをする職種です。 

手足が不自由になることもそうですが、人とコミュニケーションを取れなくなったり、食べたいものを食べれなくなることも当人にとってはすごく辛いこと。 

リハビリの仕事ではそのような思いをしている方の言語機能や飲み込みの機能が少しでもよくなるよう、あるいは機能が維持できるようにリハビリをしていました。
私が主に仕事の場としていたのが、デイケアという介護施設で日帰りでリハビリや看護・介護、レクリエーションなどのサービスを受けるところでした。
基本的には65歳以上の方が対象でしたが、中には65歳未満の若い方も通っておられ、その中には言語聴覚療法を受ける方もいらっしゃいました。

言語聴覚士として現実を知る

リハビリをする上では、リハビリを受ける方のこれまでの人生や家族・仕事のこと、本人や家族の希望など、さまざまなことを知り、どんな支援が言語聴覚士として最善なのかを考えることが大切でした。

言語聴覚士として現場に身をおく以外にも、勉強会などで他の病院や施設の現状を知ったり、いろいろなご縁で障がいのある方やそのご家族と出会い、目の前のリハビリの「現場」以外のことも徐々に知るようになりました。

いろいろな方と関わっていく中で、病院で治療やリハビリをして良くなって退院しても若い方で社会復帰できる方はごく限られた方のみであるという現実を知りました。

症状を受け入れることができず引きこもりになってしまったり、会社側が障害を理由に雇用を断ったりする現実。
障害のある方の介護で外に働きに出ることが出来ず、苦しい生活を送っている家族がいるという現実。 
自分たち(親)が歳をとったときに、子ども(障がいのある子)を誰も面倒を見てくれる人がいないという現実。 

出会ったお一人お一人が悩みや苦しみを抱えている現実を知りました。

自分自身の経験との重なり

リハビリの仕事を通じて知った様々な現実を知った時、自分自身が病気で苦しんだこととリンクしました。

私自身、交通事故の後遺症(当時は原因がわからなかった)で引きこもりになっていたからです。
引きこもっているときに野菜つくりを始め、そこから一歩ずつ社会復帰していった経験がありました。
自然の中で少しずつリハビリをしていった話はこちら⬇

https://sizennouenmitu.com/archives/969

野菜作りを始めた頃はまだ原因不明の症状が何なのかわからない状態でしたが、自然の中で過ごすことでこの原因不明の症状と向き合いながらも体力や筋力をつけたり、引きこもって鬱々としていた気持ちが自然の中ですっきりしたり、野菜作りを始めて規則正しい生活になったり、人との交流がうまれたりと様々な良いことがありました。

なので、同じように病気が原因で引きこもってしまい悩みを抱えている人に農業で何かきっかけを作りたいと思うようになったんです。

ソーシャルファームへの道

私が農業を始めてからは、「障がいのある人もない人も自身の”何か”がかわるきっかけを創る」をモットーに活動しています。
その中で、障がいのある方や社会的に立場の弱いと言われる方々の就労の場をつくる「ソーシャルファーム(社会的企業)」という形を模索しています。 

思い描いているビジョンにたどり着くには、まだまだスタートラインに立つか立たないかというくらいの状態ですが、少しずつ着実に道を歩んでいきたいと考えています。

 

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