多品目栽培からの転換、2024年は選りすぐりの4品目へ集中-砂質土壌と根菜の相性

就農したての頃は、勢いもあり、80種類とか100種類くらいの多種多様な野菜を育てていました。
しかし、ある時を境に、栽培する品目を思い切って絞っています。
品目を絞ることで得られるメリットについては、以前のブログ(https://sizennouenmitu.com/archives/2623)で詳しく解説していますので、ぜひそちらをご覧いただければと思います。
今回は、2024年に向けて、さらに栽培品目を絞り込むという新たな計画についてお話したいと思います。

「◯◯は今年作らないんですか?」という、ありがたい声

毎年、お客様や取引先の方々から、「◯◯は今年作らないんですか?」という、本当にありがたいお問い合わせをいただきます。その「◯◯」には、以下のような野菜たちが含まれます。

  • さつまいも
  • 空芯菜
  • 枝豆(黒豆)
  • 落花生
  • とうもろこし
  • カラー人参
  • カリフラワー
  • ネギ(実は8年ほど前に栽培をやめてしまったのですが…)
  • ピーマン
  • ヤーコン(今年は単に夏の暑さで全滅してしまいましたが…)
  • いぼきゅうり

こうして改めて列挙してみると、若かりし頃は、本当に多くの種類の野菜を栽培していたのだなと、自分自身でも驚いてしまいます。

2024年は厳選の4種類に

お客様や取引先からのご要望は、大変ありがたいことなのですが、2024年は、思い切って栽培する品目を以下の4種類に絞ることにしました。

  • 人参
  • ナス
  • キャベツ
  • ブロッコリー

キャベツとブロッコリーに関しては、毎年「来年こそは栽培をやめる!」と心の中で叫びながらも、お客様からの熱いリクエストに応える形で、来年までは頑張って育てる予定です。そして、2025年までには、さらに品目を絞り込み、最終的には2〜3種類の野菜に特化して栽培していきたいと考えています。

この4種類への絞り込みには、いくつかの理由があります。

  1. 園主の年齢と体力的な変化: 私自身も40代に突入し、若い頃のような無理がきかなくなってきたという現実があります。
  2. 質の高い作物への集中: 品目を絞ることで、一つ一つの作物にこれまで以上に集中し、より良い品質の野菜を育てたいという強い気持ちがあります。
  3. 農福連携スタッフの働きやすさと工賃向上: 作業する品目を絞ることで、作業内容がより明確になり、農福連携のスタッフがより効率的に働き、結果として工賃アップに繋がりやすい環境を整えたいと考えています。
  4. 当園の畑に合う作物への特化: 長年の栽培経験から、当園の土壌、特に水はけの良い砂質の土壌は、人参などの根菜類の栽培に非常に適していることが分かっています。それぞれの畑の特性を最大限に活かせる作物に絞り込むことで、より安定した収穫を目指します。
  5. 異常気象への迅速な対応: 近年常態化している異常気象に対し、限られた品目に集中することで、何かあった際に迅速かつ集中的に対応できる体制を整える必要があります。
  6. 仙台の気候変動への適応: 仙台の気候も年々変化しており、以前は比較的容易に育てられた野菜でも、栽培が難しくなってきているものがあります。そうした作物の栽培を潔く諦めることも、持続可能な農業を続けるためには必要な判断です。
  7. 家族との時間を大切にしたいという想い: これまで365日、仕事ばかりの生活を送ってきましたが、年齢を重ねるにつれて、家族との時間も大切にしたいという気持ちが強くなってきたことも、品目絞りの理由の一つです。

これらの個人的な想い、地域の環境の変化、そしてこれからの農福連携のあり方を総合的に考え、今回の品目絞り込みに至りました。
特に、ここ数年続く異常気象に、ある程度立ち向かうためには、仙台での栽培が難しくなってきた野菜に見切りをつけ、得意な品目に集中していくことが最善の策だと考えています。

もちろん、品目を絞ったからといって、100%計画通りに収穫できるとは限りません。
しかし、品目を絞り、何か問題が発生した際に、できる限りの対策を講じることで、被害を最小限に抑え、計画の70%、あるいは50%でも収穫を確保できる可能性が高まるのではないかと考えています。そんな思いを込めて、来年栽培する品目を選びました。

自分と農園に向き合う時間

例年、来年の作付け計画は、冬の少し落ち着いた時期に考えることが多いのですが、今年は夏の記録的な暑さと少雨の影響で、この時期に収穫できる野菜がほとんどなくなってしまい、例年よりも早く時間ができました。
そのため、10月のこのタイミングで、今年前半の振り返りを行い、改善点を見つけ出し、来年に向けた具体的な計画を練っています。

農業の現場は、時代の変化とともに常に変化していきます。そして、私自身も、肉体的にも精神的にも変化していきます。
変化していく農業の現場と、変化していく自分自身に真摯に向き合いながら、常にその時々のベストを尽くしていきたい。そんなことを改めて感じる今日このごろです。

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