10月に入り、朝夕に冷え込むことが増えてきました。
当園では、秋冬の葉物野菜の管理をしながら、さつまいもなどの収穫をしています。
もうそろそろ試し掘りでもしてみるか!と先日、試し掘りしたのが生落花生です。
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生落花生って?
「生落花生ってどういうものなのかしら?」とよくご質問いただきます。
質問にお答えするときには、枝豆と大豆を例にとって説明しています。
生落花生は、枝豆と同じで、実が未熟(生)の状態で収穫したもの。
落花生は、大豆と同じで、実を乾燥させてから収穫したもの。
枝豆と大豆は同じなの?!とさらに質問いただくこともありますが、同じです。
収穫のタイミングが違うだけなのです。
この生落花生、10年くらい前には東北ではあまり見かけませんでしたが、2017年頃から地元の直売所を中心によく見かけるようになりました。
ラッカセイってなんで落花生と書くの?
落花生は漢字で書くとわかりやすいのですが、花が咲いて、そこからツルのような子房柄とよばれるものが土に伸びます。
その伸びた先が膨らみ、実となるのです。
あまり見慣れていない人にとっては、とてもおもしろく見えます。
当園でも落花生の収穫体験を行うことがありますが、みなさん落花生のツルが下に伸びた先に実をつけている姿をみて驚かれます。
どんな風に育てるの?(当園の場合)
植え付け前
植え付け前に堆肥や肥料を入れます。
落花生含め豆類は肥料(主に窒素)が多いと実をあまりつけずに株だけが大きくなってしまうので、窒素の少ない肥料をあげます。
また、落花生は石灰が足りなくなると空の実をつけてしまうことがあるので、石灰を入れます。
当園では、土の状態を見て緑肥(植物を畑にすき込んむ方法)や堆肥と土壌改良材、ミネラル資材を植え付け1ヶ月以上前に畑に蒔いてトラクターで混ぜ込みんでいます。
種まき
東北、仙台あたりでは5月下旬〜6月上旬にかけて、種まき。
種まきは育苗トレイで育苗するやり方と直に畑にまく方法がありますが、直にまくほうがうまく育ちます。
ただし、直にまくと鳥に食べられることが多いので、種を蒔く際に鳥用の忌避剤を種に振りかけるか、撒いたあとに不織布のようなものをかけて鳥対策を行います。
生育期間中
7月になると落花生の花が咲き始め、ツルのようなものが下の方に伸びていきいます。
この頃に1度土寄せをします。
あとは、栽培期間中、草を取るだけ。
他の作物に比べるとあまり手がかかりません。
長雨等が続くと病気が出ることがあるので、落花生の生育状況を見て必要に応じて、殺菌剤を使用したり、植物活性剤を散布するといいと思います。
収穫
品種にもよりますが、生落花生は仙台では9月下旬頃から10月中旬くらいにかけて葉が黄色くなってきた頃から順次、収穫していきます。
収穫は手で掘る際には、株を掴んでゆっくり抜くだけ。
あとは、ツルの先についている実をとっていきます。
茹でて食べる際には、採れたてが美味しいですよ。
生落花生の調理
塩ゆで
生落花生の食べ方ですが、ゆでて食べるのが一般的です。
枝豆をゆでるときよりも気持ち多めの塩を入れ、約30分程度塩ゆでします。
そのあと、10〜15分ほど蒸らして完成。
至って、シンプル。口に入れると、落花生の香りがふわっと広がり、甘みがじわっと出てきます。
ローストして食べる方法
もう一つの食べ方がローストです。
この方法は私もつい最近知ったのですが、こちらもやり方はシンプル。
①茶封筒に、殻をむいた落花生をin。封筒の中で実が重ならない程度にします。
②500W3分間、電子レンジでチン。
③電子レンジから取り出し、袋に入れたまま、振る。この時にお好みで塩を投入。
④500W2分間、電子レンジでチン。
⑤電子レンジから取り出し、味見。生っぽさがなければOK。まだ生っぽさが残っていたら、袋に入れたまま、振る。
⑥500W1分間、電子レンジでチン。
⑦完成
お酒のおつまみに合います。
余談:美味しい落花生を探して
元々、佐藤は落花生が苦手でした。食べた時の味気なさやエグみ、ゴワゴワとした食感がだめでした。
自分で野菜を作り始めたときには「落花生は作らない!」と決めていたほどです(笑)
ですが、鈴木と農業をするようになり、鈴木が「落花生作りたい!」と言い出してから落花生を作るようになりました。
初めて食べた時のゆで落花生の味は今でも忘れられません。
以後、美味しいゆで落花生を食べるにはどうしたらいいかを考えています。
ポイントは2つ。
1つは鮮度の問題。
枝豆と同じで、生の落花生は鮮度が落ちやすいので新鮮なうちに食べる。
もう一つは、肥料の問題。
窒素が多くなると”つるボケ”してしまい、あまり美味しい落花生ができなくなる。
アミノ酸肥料やミネラル肥料を使うと美味しくなる。
ということで、必要最低限の緑肥や堆肥、土壌改良材のみで育て、収穫したものは数日以内にお客さんに食べてもらう(ように説明する)ことをお願いしています。
最後に
いかがでしたか?
落花生も作り手や土壌の性質、栽培方法によって実の大きさも味も変わってくるので、面白いです。
生落花生は本当に一瞬しか採れない野菜なので、見かけたらぜひ食べてみてくださいね。