農家がいなくなる?!現場で感じる高齢化

農家がいなくなる日が来るかもしれないというお話を以前、ブログで書きました。

農家がいなくなる?それって問題あるの?

「農家がいなくなる?!」というブログを書いてから1年。
おそらく農家が減っている感覚をストレートに感じる方は、当事者や農業関連の方以外では少ないかもしれません。
今回のブログでは、実際に私たちが日頃見ている現場から農業従事者が減っている現状について少し見ていきたいと思います。 

農業従事者はどのくらいいる?

平成30年度の概数値では、農業従事者は全体で平成29年よりも約6万人減り175.3万人、そのうち基幹的農業従事者も前年より5万人少なくなり、145.1万人となりました。
農水省の統計データを見て、少し気になったのは基幹的農業従事者の数でした。

単位:万人

平成29年

平成30年

基幹的農業従事者

150.7

145.1

うち65歳以上

100.1

98.7

基幹的農業従事者は平成29年度から5.6万人減りました。
うち65歳以上の方は1.4万人減っています。

ということは、65歳未満の方が4.2万人も減っているのです。
この数には正直驚きました。

65歳未満というと農業の世界(少なくとも私たちの地域)では「若者」なのですが、その若者が減っていると解釈できます。

農水省統計データで最新の農業従事者数の推移が載っているのはこちらです⬇
https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html

現場で感じる高齢化と増えない若者

その1−とある交流会に参加して

2018年年末に、取引先主催の生産者交流会があり、MITUも会に参加してきました。
交流会では、何人かのグループに分かれ、生産者や消費者が日頃の取り組みや悩み、疑問などを話し合いながら交流を深めるものもありました。

そのグループディスカッションで一番多く出た現場の悩み、それが「後継者不足」でした。

どの産地、生産者グループも後継者がなかなか見つからず、この先「終了」を考えているところもあるとお話されていました。 
後継者が1人見つかっただけでも「これでなんとか首がつながった!」と感極まるそうです。

このグループディスカッションでは、どうすれば農業後継者が増えるかということを話し合ったグループもいくつかありました。 

その多くは、生計が安定して成り立つような仕組み(市場では気候の良し悪しが価格にかなり影響する)が必要であること、生産者と消費者が一丸となって食を守り続ける必要があることといった共通の意見が多く聴かれました。

その2−取引先にて

とある取引先の方から伺ったお話。
近年は取引している生産者の高齢化が加速し、登録生産者が減ってきているというお話を伺いました。
地産地消に力を入れているが、地元で種類豊富な野菜を集めるのも難しくなってきたとも。
かつては少量他品目で農産物を育てている農家もそれなりにいたので産直コーナーは彩豊な場所だったそうです。 
最近では単一品目で大規模に育てている農家が増えてきたので、みなさん同じ時期に同じものが大量に入ってきたり、産直コーナーにそもそも出さなくなったとも考えられています。
また、周りを見ていても一部スーパーや業者で農家の囲い込みが始まってきているような印象を受けます。 

農家はいなくなる?!

農業従事者の統計をみても、これから人口減少が続く流れや現場で感じる状況からも、今後農家はさらに減っていくものと推測されます。
特に新型コロナの後、石油価格や農業資材の高騰を受け、大規模農業法人が撤退する話も耳にし始めました。
これがきっかけで農業従事者の数は減少が加速するかもしれません。

農家が減っていく中で、消費者が野菜を買う場や環境、状況といったものが少しずつ変わってくるかもしれません。
例えば、ある場所では地元産が手に入りにくくなり、別の場所では地元産が購入できる、といったように。

これからの農業

今後生産者が減っていくことで、少なからず農産物の購入環境に変化が起きるかも知れません。
一方で、自分に合う生産者を見つけやすくなってきていると思います。
インターネットで検索するだけでもたくさんの生産者のホームページが見れるようになりましたし、SNSでも気軽に繋がれるようになりました。
また、旅行会社と生産者がコラボして農業体験を企画しているものも増え、直接農家に会える機会も増えました。

これからは消費者と生産者がより気軽に繋がれる時代になるかもしれませんね。

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