ナス収穫の終了と一年の反省-執着を捨てるというお話

今年のナスの収穫は10月15日をもって終了しました。
仙台沿岸での急激な気温低下と、来月の農園休園(諸事情による)のため、例年より少し早めに切り上げることとなりました。

過去最低の収穫量とその反省

ナスとニンジンをメイン品目にしてから3年目となりますが、今年は過去一で収穫量が低い年となりました。

  • 目標収穫量: 10t/10a
    実績収穫量: 5.5t/10a

この結果から、改めて潅水設備の重要性を痛感しました。
今まで水道も井戸も農業用水もなかったのですが、今年の秋口に水道設備を確保。
来年はナスもニンジンも反収(単位面積あたりの収穫量)を向上させるため、栽培面積と作業効率の両方を見直す予定です。

農業経営における「執着を捨てる」決断

 

以前は「面積を拡大していくぞ!」という意欲が強かったのですが、ここ数年で、自分の適性面積を見極め、コンパクトな経営を目指すという考えにシフトしました。
コンパクト化を進めることで、土壌や栽培に関わる投資に集中し、反収の高い農業を目指したいと考えています。

集団移転跡地の返却が転機に

この思いを強くするきっかけが、先日ありました。

仙台市から集団移転跡地として借りていた事業用地の一部を、不測の事態(借りている地域で生じた、解釈が分かれる事態)により返却することになったのです。

この土地は、通常の畑のようにすぐに営農できる状態ではなく、トータルで10年ほどかけて土を改良し、その後で資金回収を始める計画でした。土作りの中途での返却は、時間、労力、費用の面で大きな痛手となります。

この経験を受け、「不測の事態」で返却リスクのある土地は手放し、農地面積をさらにコンパクトにしていくことを決意しました。

💡 今後の経営方針

  1. 返却リスクのある土地は手放す。

  2. それでもなお「不測の事態」が続く場合は、仙台での営農を辞め、他の土地へ移住する。

尊敬する先輩農家さんたちから以前から「10年もかかる土地なら別の場所に移った方がいい」とアドバイスをもらっていました。当時は地元への愛着から受け入れられませんでしたが、時間が経ち、考え方が変わったことを実感しています。

 ソーシャルファームへの考え方の変化

「執着を捨てる」という視点は、ソーシャルファーム事業に対する考え方にも影響を与えました。

以前の考え(執着していた頃) 現在の考え(執着を手放した後)
規模拡大:ソーシャルファームを築き、多くの人を雇用する。農業の規模拡大と並行して事業を広げる。 目の前の質:今来てくれている利用者(施設やグレーゾーンの方々)が、日々働きやすく、楽しく働ける環境をつくることに集中する。工賃を上げることに注力する。

以前は、熱く壮大なビジョンを持っていましたが、最近、今後の展望を尋ねられても、以前のようなインパクトのあるビジョンは浮かびませんでした。

今は、目の前の利用者の方々の環境改善を最優先とし、相談に来る方々へは、自分にできる範囲で対応させていただいています。

「執着を捨てた」先に見えたもの

農業でも農福連携でも、師匠や尊敬する経営者の先輩方からのアドバイスである「執着を捨てよ」を実行したことで、私の場合は目の前のことに集中できるようになりました。

かつては、土地や売上にこだわり過ぎて、現実が見えていない時期がありました。

【現在の決意】

  • 農業:仙台という場所にこだわらず、就農できる場所があるのならどこへでも行こうと考えています。そのためにも、自分の農業技術を高め、目の前のお客さんと真摯に向き合うことが大切です。

  • 農福連携:農業と同じく、目の前の利用者の方々との向き合いを最優先とします。

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