「すみません、キュウリってありませんか?」
私たちが仙台で野菜の直接販売をしていると、お客様から季節外れの野菜について尋ねられることがよくあります。冬の始まりに夏の野菜を求められたり、夏の盛りに秋や冬の野菜を探されたり。
スーパーに行けば一年中ほとんどの野菜が手に入るこの時代。でも、ふと「この野菜の旬っていつなんだろう?」と疑問に思うことはありませんか?
今回のブログでは、宮城県の旬の野菜に焦点を当て、その魅力や、旬を知ることで得られる食の豊かさについてご紹介したいと思います。
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一年中同じ野菜が買えるのはなぜ?
スーパーや八百屋さんに行くと、一年を通してトマトやキュウリが当たり前のように並んでいます。これは、土を使わない水耕栽培などの技術革新によって、季節に関わらず安定的に生産できるようになったことや、全国各地から野菜を調達する流通システムが発達したことによるものです。
農家になる前の私も、スーパーで常に手に入る野菜の旬を意識することはほとんどありませんでした。
しかし、野菜には本来、最も美味しく、栄養価も高まる「旬」という時期があります。旬は、地域や品種によって異なり、また、ジャガイモや玉ねぎのように長期保存が可能な野菜は、旬の時期以外にも比較的長く市場に出回ります。
旬を見分けるヒント
では、どうすれば野菜の旬を見分けることができるのでしょうか?一つの大きなヒントは、販売されている野菜の生産地に注目することです。
地元である宮城県産の野菜が多く並んでいる場合、それはまさにその野菜がこの地域で旬を迎えている証拠と言えるでしょう。
また、土を使って栽培される野菜は、一般的に温暖な南の地域から収穫が始まり、徐々に北上していきます。そのため、同じ野菜でも、時期によって産地が移り変わっていくのを見ることで、季節の移り変わりを感じることができます。
「身土不二(しんどふに)」という言葉があるように、その土地で育った旬のものを食べることは、最も美味しく、栄養価も高いと言われています。遠く離れた土地で収穫された野菜は、どうしても収穫から食卓に並ぶまでの時間が長くなります。物流技術や包装技術が進歩し、鮮度を保つ努力はされていますが、採れたてをすぐに食べるには、地元の旬の野菜が一番です。
仙台の季節の野菜カレンダー
それでは、宮城県仙台市とその周辺で、それぞれの季節に旬を迎える代表的な野菜を見ていきましょう。収穫時期は気候などによって多少前後することがあります。
【春】
- アスパラガス:春の訪れを感じさせる、風味豊かな味わい。
- そら豆:鮮やかな緑色と独特の食感が魅力。
- えんどう豆:甘みがあり、様々な料理に彩りを添えます。
- 絹さや:柔らかく、さっと茹でていただくのがおすすめです。
- 玉ねぎ:新玉ねぎはみずみずしく、生でも加熱しても美味しい。
【夏】
- トマト:太陽の恵みをたっぷり浴びた、甘くてジューシーな味わい。
- ピーマン:緑、赤、黄とカラフルで、料理のアクセントに。
- パプリカ:肉厚で甘みが強く、サラダや炒め物に最適。
- ナス:夏を代表する野菜。焼きナス、炒め物、漬物など多様な調理法で楽しめます。
- キュウリ:シャキシャキとした食感とみずみずしさが魅力。
- ズッキーニ:淡白な味わいで、炒め物やグリルなどによく合います。
- トウモロコシ:甘くてジューシーな夏の味覚。
- インゲン:シャキッとした食感で、和え物や炒め物に。
- オクラ:独特の粘りが特徴。和え物や天ぷらに。
- カボチャ:冬のイメージがありますが、夏の終わりから秋にかけて旬を迎えます。長期保存できる品種もあります。
- 枝豆:ビールのお供に欠かせない夏の味覚。
- ニンニク:風味豊かで、料理の味を引き立てます。
- ラッキョウ:独特の風味と食感が特徴。漬物としてよく食べられます。
- シソ:爽やかな香りが料理のアクセントに。
- モロヘイヤ:栄養価が高く、独特の粘りがあります。
【秋】
- サツマイモ:甘みが凝縮され、ホクホクとした食感が楽しめます。
- 落花生:秋の味覚。茹でたり、炒ったりしていただきます。
- 根ショウガ:体を温める効果があり、料理の風味付けに。
- セロリ:独特の香りとシャキシャキとした食感が特徴。
- 里芋:ねっとりとした食感が特徴。煮物などに。
【冬】
- 白菜:鍋物には欠かせない冬の定番野菜。
- ヤーコン:シャキシャキとした食感とほんのりとした甘みが特徴。
- 長芋:滋養強壮にも良いとされる、ねばり気のある野菜。
- 長ネギ:冬の寒さで甘みが増し、鍋物や薬味に。
- ゴボウ:土の香りが豊かで、煮物やきんぴらに。(秋から冬にかけて旬を迎えます)
- ほうれん草:冬の寒さで甘みが増し、栄養価も高まります。
- ちぢみ菜:葉が縮れており、甘みと旨みが凝縮されています。
【年に数回の収穫期】
- 大根:春、秋、冬など、年に数回旬を迎えます。⇒仙台では冬の大根が美味しいですね。
- 人参:比較的年間を通して栽培されますが、秋から冬にかけて甘みが増します。
- カブ:春と秋に旬を迎えます。
- キャベツ:春キャベツ、夏キャベツ、冬キャベツと、品種によって旬が異なります。⇒冬キャベツは肉厚で甘みが強く、春キャベツは柔らかい葉が特徴的ですね。
夏の野菜が多いのは、温暖な気候が長く続くため、様々な種類の野菜が育ちやすいからです。夏野菜の中には、上手に栽培すれば10月頃まで収穫できるものもあります。
九州と東北・北海道では、同じ野菜でも収穫時期が1ヶ月から1ヶ月半ほどずれることがあります。玉ねぎやジャガイモは貯蔵性が高いため、比較的長い期間市場に出回ります。サツマイモは寒さに弱いですが、収穫後1〜2ヶ月ほど置くことで甘みが増します。葉物野菜は、寒くなるほど甘みが増すため、冬のものが美味しいと言われています。
旬を知って、もっと美味しく、もっと健康に
いかがでしたでしょうか?普段何気なく食べている野菜にも、それぞれの美味しい旬の時期があることを知っていただけたかと思います。
この機会にぜひ、地元の野菜の旬を知り、旬の食材を積極的に食卓に取り入れてみてください。旬の野菜は、最も栄養価が高く、風味も豊かで、何よりその時期ならではの美味しさを楽しむことができます。
旬の野菜を味わうことは、私たちの食生活を豊かにし、季節の移り変わりを感じさせてくれる、素敵な体験となるはずです。