みなさんは天然甘味料と聴くと、どんなイメージを抱きますか?
身近なところだと、サトウキビやビーツ、はちみつでしょうか。
天然甘味料は雑味や独特の風味があるので料理に使いづらいという方もいらっしゃる一方で、ミネラルや殺菌成分など含まれていることから興味を持たれる方も少しずつ増えてきたように思います。
この天然甘味料の中でも農作物からできる甘味料というと、日本では沖縄のサトウキビ、北海道のビーツが思い浮かびます。
地域に根ざし地産地消でかつ循環型の農業を目指す上で、東北でも天然甘味料を作れないか?
そんなことを考え、MITUでは「スイートソルガムシロップ」というシロップに着目をし、製品化に向けた活動をしています。
このブログではMITUが新しく挑戦を始めるスイートソルガムシロップについてご紹介していきたいと思います。
Table of Contents
スイートソルガムシロップとは?
スイートソルガムシロップとは何かといいますと、スイートソルガムというキビの仲間から作るシロップです。
とうもろこしのような植物の茎を絞って、煮るとシロップができるんですよ。
スイートソルガムシロップがどんなものか紹介しているブログはこちらになります。(https://sizennouenmitu.com/archives/1627)
MITUの佐藤が2013年頃から少しずつ準備を始めてきました。
本当は2019年に試作品をつくり、いつも野菜を買いに来ていただく皆さんにお振る舞いをしようかとも考えていたのですが、台風19号でスイートソルガムも壊滅的な被害となってしまい、シロップつくりを断念しました。
2020年、気持ちを新たに挑戦します。
何故、スイートソルガムシロップなのか?
何故、スイートソルガムなのか?理由は大きく2つあります。
震災の影響残る農地での循環型農業
理由の1つはスイートソルガムを育てることが土作りに関わってくるからです。
東日本大震災の津波で被災した地域では、農地の復旧工事やほ場整備という工事が何度か行われました。
工事が入るたびに土の状態は悪くなり、生産者が農地を使えるようになった最初の年は雑草もほとんど生えないほど状態の悪いものでした。
専門家から意見をもらったこともありましたが、農作物がまともにとれるようになるまでは5年、10年かかると話をしてもらいました。
5年、10年と考えるとかなりの年数に感じますよね。
仙台沿岸は比較的新規就農者がいて、農業従事者の高齢化が進む中で平均年齢が30代40代と若い人が多いんです。
ですが、実際にMITUも含めて、土の状態があまりよくないため、思ったように作物が収穫できず、経営的に苦しいところが多いのが現状です。
そこで着目したのがスイートソルガムでした。
スイートソルガムは土の環境をあまり選ばず、あまりよくない状態の土でも育つことが出来きます。
以前、宮城大学の研究で沿岸部でソルガムを栽培した実験が行われたことがありますが、沿岸部の土質や環境がソルガムには合うようでした。
スイートソルガムは育てること自体に土壌改良の効果があって、根が深くはることで土の通気性や排水性を改善してくれます。
また、シロップにする際に茎を絞って搾汁液をとるのですが、そのときに出るしぼりカスを土に戻すと土が良くなります。
ですので、生産者はシロップを販売しながら経営を安定させつつ、土作りもできるようになるのです。
さらに言うと、ソルガムの実も収穫できるのですが、実は雑穀や動物の飼料になります。
ソルガムの実を食べた動物の糞尿を堆肥にして畑に戻すこともできます。
ソルガムは無駄のない作物で、仕組みができれば環境に配慮した循環型の農業に取り組むことができると考えています。
シロップ作りで障害者の就労の場を
MITUの佐藤が農業を始めたきっかけは、農業分野で障害のある方の就労支援とか生きがいを持てる場所を作りたいと思ったことがきっかけでした。
農業を始めてから、少しずつ連携先の施設さんを増やしたり、受入人数を増やしています。
でも、もっと増やせる可能性がある!と考えたのです。
畑の作業だけではなく、シロップの加工などを通しても障害のある方の仕事が増やせるのではないかと。
ソルガムは栽培が比較的簡単できちんとやり方を伝えれば、障害のある方でも育てることが出来ます。
収穫もシンプルで、茎を刈り取って、絞り機に入れて、搾汁した液を煮詰めれば、シロップができます。
この過程を一緒に取り組むことが出来たのなら、1人でも多くの障害のある方と仕事ができると考えました。
どんなシロップ?
気になる味は?
では、ソルガムシロップがどんなシロップかといいますと、「キャラメル風」という人もいれば、「みたらし」のような味がするという人もいます。
個性的な味です。
海外の研究ではミネラル分が多く含まれていることがわかっています(https://sizennouenmitu.com/archives/1731)。
活用方法は?
個性的な味なのですが、私はパンケーキで使ってみたり、そのままスプーンで1杯食べたり、甘酢漬けに使ったりもしています。
他にもいろんな料理に使えそうな予感がしていますが、このあたりはまだ模索中です。
海外では、パンケーキやお菓子、ドレッシング、ホットジンジャー、テリヤキソースなどいろんな料理に使われているようです。
スイートソルガムは古くは紀元前から使われていたそうですが、サトウキビが普及した影響で少しずつ使用量が減ったと言われています。
ですが、ここ数年再びスイートソルガムシロップに注目が集まりはじめています。
ヨーロッパでは地元産の天然甘味料として、インドや韓国では健康食品として、アメリカ(南部)では郷土料理として。
日本でも天然甘味料を選ぶ際の1つの選択肢としてスイートソルガムシロップがあるといいなと思っています。
仙台から届けるスイートソルガムシロップへ
日本ではあまり出回っていないスイートソルガムシロップですが、このスイートソルガムシロップへの挑戦をすることで、仙台沿岸部の農業や障害者就労を少しでも活性化させたいと考えています。
一緒に作り上げてくれる仲間も募集しています。
MITUだけでできることは本当に小さなことしか出来ません。
でも、沿岸の生産者、障害のある人、同じプロジェクトに参加してくれる人みんなが笑顔になれる、元気になれるプロジェクトにしたいと考えています。