農福連携への一歩、どう踏み出すといい?➖農福連携のお話

農福連携に興味はあるけど、どんな風に始めればいいかわからない。
実際に最初はどんなことから始めるの?
自分たちでできるか不安。

と農福連携の始めの一歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか?
このブログでは、当園で実際に農福連携を始めたときのことを話ながら、どのように農福連携のはじめの1歩を踏み出すといいのかを取り上げていきます。

まずは試用期間を設けてみる

農福連携を始める際、最初から「仕事をください!」と言っても、農家側からすると何をどのくらい出来るのかわからない状態です。
また、全ての作業が商品(農作物)に直結するので、作業のクオリティや効率も把握しなければいけないのが実情です。

そこでまずは「練習期間」を設けるのがいいのではないかと思います。
施設の形態や農家が育てている品目や品目数にもよりますが、概ね3〜6ヶ月はあるといいのかなと感じています。

この試用期間の間に、農家側が求めているものを把握しつつ、施設の利用者さんがどういった作業ができるのかどのくらい時間がかかるのか得意不得意はあるのかといったことを見ていきます。
ここで農家と施設との間ですり合わせをし、お互い納得できたところで本格稼働すると後から揉めたりすることも減るかと思います。

私個人としては、この「すり合わせ」がかなり大事だと考えています。
というのもここが上手くいかないとどちらかが不満や不安を感じたままとなり、最悪の場合仲違いになったり、「もう二度と農福連携なんてやらん!」ということにもなってしまうからです。

当園での事例

当園で一番長くお付き合いしているNPO法人と農福連携を取り組み始めたときのことを例に取り上げていきます。
NPO法人(B型就労支援施設)さんとは2017年から一緒に農福連携の取り組みを始め、2022年現在で5年目となります。

最初知り合ったのは私自身がNPO法人に相談&営業をしたことがきっかけでした。
私自身が農業の分野で障がいのある方の支援をしたいという想いがあったこと、前職で高次脳機能障害という障がいのある方のリハビリをしていたことがあり、自分なりに探したところ、こちらのNPO法人さんに行き着いたんです。

お互い試用期間を設けたほうがいいよね、ということになり、試用期間を1年設けました。
お互い初めての取り組みということもあり、作業の進め方や流れをすり合わせるための準備期間としてじっくりと時間をかけて準備をしてきました。 

2017年仙台では、36日間続いた長雨の影響でどうにもこうにも作業ができなくなり、しばらくお休みしたり、天候不順で予定していた作業が全くできないという事態も起きましたが、、、。

そういった不測の事態が起こりつつも、お互い議論を重ねていきました。

最初はどんなことをしたのか?

当園で取り組みを始める際に最初に行ったのは、「観察」と支援員さんとの「話し合い&すり合わせ」でした。
これにものすごい時間をかけたんです。

私からしてみれば、来てくれている障がい者スタッフ(以下、スタッフ)がどのくらいの能力があって、何が出来て何が出来ないのかもわからない状態だったので、まずは自分が行っていた作業のうち比較的簡単なものをお願いしました。

例えば、草取りやいろんな野菜の収穫、圃場の片付け、小豆の脱穀や選別などなど。

いろんな作業をしてもらい、作業の様子を観察、一人ひとり何が出来て何が出来ないのか、どうすればできるようになるのか?を支援員さんと1つ1つ確認しました。それと同時に支援員さんからどのくらいのクオリティで作業をすればいいのかも聴かれたので1つ1つ説明をしました。
施設側で希望する工賃(B型施設だったので)を事前に聞いていたので、その工賃でどのくらいの作業をこなさねばならないのかもお互いすり合わせました。

当時は少量多品目で野菜を育てており季節ごとで作業内容も異なっていたため時間がかかったかもしれないと、今となっては思います。でも、スタッフ1人1人に合わせた作業を考え、かつ1つのチームとしてスムーズに作業を行っていくためにはそれなりの時間と労力がかかるとも感じています。

「観察」と「話し合い&すり合わせ」を1年かけて行い、2年目から本格的な農福連携をはじめました。

その後は?

NPO法人と農福連携を始めて2022年で5年を迎えました。
5年経ち、年々出来る作業が増えたり、作業スピードも上がりました。
今でも時折、スタッフさんの作業を観察しながら「この作業は○○したほうが××さんにはいいな」とか「□□さんは△△の作業苦手だけど試しにやってみてもらおうかな」と考えたり、支援員さんと話し合いをしながらやり方を模索することもあります。

どんどんスキルがUPしています。
B型就労支援施設で障がいの程度が重い方も来ていますが、チームとしての能力はA型就労支援施設(最低賃金以上の賃金で働けるくらいの能力がある方々が通う施設)に引けを取らないくらいの状態になっています。

いかがでしたか?
農福連携を始めよう!と一歩踏み出すときには不安や疑問もあると思いますが、試用期間を設けて農家と施設ですり合わせをしていくとその先、お互いwin-winな関係で農福連携を続けられるかもしれません。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。

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