野菜とミネラルのお話-鉄

鉄分の多い食べ物と聴くとあなたはまず何を思い浮かべますか? 

 

私はまずレバーを思い浮かべます。実は野菜や豆にも含まれている鉄分。

どんなものに多く含まれているのでしょうか?レバーのような動物性ものとの違いは?

 

とあるセミナーに参加したときのこと、「1950年に比べて現在は野菜の鉄分が1/6に減ったのです」

というお話がありました。

この野菜のミネラル不足には、分析方法が異なっていること、植物由来の堆肥を使わなくなったこと、

環境がかわってしまったことなど様々な原因が考えられています。

が、あまり野菜の鉄分について意識したことのなかった私。

 

今回のブログでは、野菜と鉄分のことをみていきたいと思います。

 

 

鉄とは

 

鉄は主に赤血球を作るのに必要な栄養素で、酸素を運搬するための重要な役割を担っています。

人の体内では、おおよそ3〜4gの鉄が存在していて、その約65%はヘモグロビンとして赤血球の中にあり、

3〜5%は筋肉の中に、残りの約30%は肝臓や脾臓に貯蔵されています。

食品に含まれている鉄には、魚や肉などの動物性食品に含まれているヘム鉄と

野菜や穀物などに含まれている非ヘム鉄があります。

 

 

鉄の吸収

 

体内では小腸で吸収されます。

ヘム鉄と非ヘム鉄では吸収のメカニズムが異なっており、

非ヘム鉄よりもヘム鉄のほうが吸収されやすいと言われています。

 

ヘム鉄は約10〜40%吸収されるのに対して非ヘム鉄は約2〜10%であるという報告もあります。

 

非ヘム鉄は小腸で吸収されるときに食物繊維やタンニンなどから吸収阻害を受けることや、

吸収されやすい形になるために胃酸の影響を受けることなどから吸収量が少ないと言われています。

 

 

鉄が不足すると?

 

鉄が不足すると、体に様々な症状が出てきます。

 

持久力の低下

疲労感

筋力低下

寝起きが悪い

身体の冷え

 

現代の日本人では、鉄不足の人が多く女性では1,000万人以上の人が鉄不足とも言われています。

 

 

ビーガンやベジタリアンは鉄不足?

 

ビーガン(完全菜食主義)やベジタリアンの方の中には鉄が不足する傾向にあると言われています。

これは、ヘム鉄と非ヘム鉄では吸収の仕方が異なり、非ヘム鉄の吸収量が低いことが要因である

と考えられています。

 

アメリカでの研究では、ビーガンでも栄養が十分に採れているという報告があり、

この場合は鉄が多く含まれているシリアルを食べたり、鉄分を多く含んでいる野菜や果物を

多めに取ることで不足を補っているようです。

調べによると、通常の摂取基準よりも1.8倍の摂取量を取ることを推奨しています。

 

 

野菜と鉄

 

日本食品標準成分表2015を参照すると、可食部100gあたりで

野菜の中で鉄分が多いのは

 

ゆで枝豆   2.5mg

ゆで小松菜  2.1mg

そら豆    2.1mg

春菊     1.2mg

切り干し大根 9.7mg

 

豆類では、

大豆    9.4mg

小豆    5.4mg

 

ちなみに、肉類では

 

豚肉(レバー) 13.0mg

鶏肉(レバー) 9.0mg

 

海藻類では、

 

あおのり(乾) 74.8mg

ひじき(乾)  55.0mg

 

といった数字になっています。

日本人の1日の鉄分の摂取基準は

成人男性で7.0mg、成人女性は年齢によって異なっており6.0〜6.5mgと言われています。

 

先程、ヘム鉄と非ヘム鉄で吸収量が異なるという話をしましたが、

野菜などに含まれているビタミンCと一緒に食べることで鉄の吸収を良くしたり、

野菜に含まれる葉酸は赤血球を作るために必要な栄養素があります。

そのため、野菜と肉をバランスよく摂取することで、効率よく鉄分を摂取し、

 鉄不足を予防することが推奨されています。

 

 

余談

 

私は農業する前は貧血男でした。

私が当時、立ちくらみ、口内炎がでやすい、疲れが取れない、朝起きれないといったことが多く、

顔色もあまり良くありませんでした。

今思い返せば、当時の食事習慣はあまり良いものではなく、朝は食べたり食べなかったり。食べても食パンだけ。

お昼は小さいお弁当箱に冷凍食品詰めまくる、夜は忙しいときはコンビニ弁当という生活でした。

その頃は胃十二指腸潰瘍もあったので、さらに貧血がひどかったのだと思います。

 

農業を始めてからは食事習慣もだいぶ変わりました。

最初の頃は、身体が海藻類を欲して欲して仕方がありませんでした。

あおのりやら生のり、わかめは毎日3食食べたくて貪り食うように食べていました。

ひたすら食べまくって何ヶ月か経ってびたっと海藻類を欲さなくなりました。

人の身体というのは面白いものですね。

 

今でも海藻類は好きでよく食べますが、当時のように貪り食うようなことはなくなりました。

 

日本食品標準成分表を見ながら、自分自身の行動を振り返ってみると、

季節ごとに欲する野菜があるな〜ということに気が付きました。

 

例えば、

夏の枝豆。我が家の母と私、兄弟は豆食いなんです。

昼間に収穫した枝豆を夜にひたすら食べるのが夏の恒例です。

2,3キロの枝豆なら3人家族で1食分、ペロッと食べてしまいます。

家族が全員集合したときにはその倍の量です。

 

秋から冬になると、大豆や小豆が食べたくなります。

これまた家族みんなで茹でた大豆や小豆を箸ではなくスプーンですくいながらかき込みます。

それが落ち着くと、切り干し大根の登場です。

これまたどうしても自分で切り干し大根を作りたくて作り始めてから、冬の仕事になりました。 

 

とある大学の先生が、身体が求めるもの(脳が求めるもの)が実は自分の身体に必要なものであることが

研究で論理的にわかってきた、というお話をされていました。 

自分の欲していた食べ物を見ると、その季節ごとに鉄分の含む食材を食べていたことがわかりました。 

食べている量が多いか少ないかは別にしても、、、。 

 

よくよく思い返すと、農業を始めてからは自分の欲する野菜を作っているかもしれないと思った私でした。

 

いかがでしたか?

食生活の乱れなどから鉄不足の人が増えてきている可能性もあるので、 

肉や野菜、海藻類やタンパク質などバランスのとれた食事をしながら、鉄不足を解消していきたいものですね。

 

 

参考資料

吉野ら「鉄に関する最近の研究と知見」栄養学雑誌、1987

張替「鉄代謝-最近の知見-」日内開始、2013

文科相「日本食品標準成分表2015」

古俣「鉄欠乏性貧血の栄養管理について」国際学院埼玉短期大、2006

関連記事

  1. カロテノイドって何?!-①

  2. ヤーコンの植え付け開始!

  3. 野菜を積極的にとってダイエットをしよう!

  4. MITUの野菜、どこで食べれるの?

  5. ただひたすらに向き合う

  6. 仙台沿岸の畑は何故、土が良くないのか?